インド太平洋関連

シンガポールのF-35A発注が濃厚、国防相がベストタイミングだと言及

シンガポールのウン・エンヘン国防相は28日「F-35Aを発注するには今がベストタイミングだと考えている」と国会で演説、シンガポール国防省は予算案が承認されればF-35Aを8機発注する計画で、同国が調達するF-35は計20機(A型8機+B型12機)になる見込みだ。

参考:Singapore to buy eight F-35 jets, raise defense budget

Block4の要素が完全に組み込まれた2029年以降のF-35Aを発注する可能性が高い

シンガポールは2020年にF-16の後継機としてF-35Bを4機(オプション行使で最大8機の追加調達)を発注、シンガポール国防省は「最初の4機は自国のニーズにF-35Bが適しているかを評価するため用いられる」と説明していたため「テスト後にオプション行使を検討する」と解釈されていたが、ウン・エンヘン国防相は2023年5月「我が国のニーズにF-35Bは最も適しているという結論に達したためオプションを行使する」と発表して注目を集めたことがある。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Drew Verbis/Released

F-35Bの引き渡しは2026年予定なので「シンガポールは実機の評価を行うことなくオプションを行使する」という意味になり、米ディフェンスメディアは「F-35の将来に何の疑いもないとシンガポールは確信したようだが、12機目以降の発注がA型に切り替わるのか、B型のまま行くのかは実機による評価次第だろう」と報じていたものの、ウン・エンヘン国防相は28日「他のプロジェクトの優先順位を下げる必要があるものの、F-35Aを発注するには今がベストタイミングだと考えている」と国会で演説。

シンガポールの発注タイミングは「Block4の要素が完全に組み込まれた2029年以降のF-35A」を狙ったものと思われ、ウン・エンヘン国防相が「発注するのに最も適している」と言及したもの「Block3からBlock4への改修費用が不要」という意味かもしれない。

出典:PHOTO by Senior Airman Yosselin Campos

因みにシンガポール国防省は予算案(約150億ドル/前年比27億ドル増)が承認されればF-35Aを8機発注する計画で、同国が調達するF-35は計20機(A型8機+B型12機)になる見込みだ。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Katelynn Jackson

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コメント

    • ido
    • 2024年 3月 01日

    シンガポールはMRO&U何処の使うんですかね。日本の使うなら三菱のがキャパオーバーしそうですが。航空自衛隊、韓国空軍、アメリカ海軍(F/A18の変わり)。逆にオーストラリアの方はそこまでキャパが無さそうだしオーストラリアの方に行くのかな

    10
    • 兵長
    • 2024年 3月 01日

    日本もこう言う賢い買い方をして欲しいものです。

    3
      • kitty
      • 2024年 3月 01日

      こればっかりは、装備の更新タイミングや周辺状況の違いでどうしようもないでしょう。
      今となってはF-22なんて買えなくて幸いでした。買えていたら地獄を見た。

      51
      • トーリスガーリン
      • 2024年 3月 01日

      必要な時に手元にない理想の兵器より、多少手間と金がかかっても必要なタイミングに間に合った兵器
      どちらがより良い兵器かは論ずるまでもなく
      台湾有事が近いと噂される昨今、2023年にF-35の実運用(スクランブル開始)にこぎつけたのは評価されていいと思うんですけどね

      42
      • バーナーキング
      • 2024年 3月 01日

      結局実機での試験運用を経ずに見切り発注することになったのを「賢い買い物」といっていいのかなぁ。
      開発参加してないのにMRO&U設置出来たこと等を含めて日本だって割と悪くない買い物をしたと思うけど。
      ブロック4絡みのドタバタは仕方なし。それ言い出したらシンガポールの2029年以降の納入だってまだどうなるか分かったもんじゃないしね。

      23
      • Ard
      • 2024年 3月 01日

      F-X選定から10年以上経てもF-35が最善の機体である事に疑いの余地は全く無いのに、その機体をしっかり選び取った選定方法と違う買い方を探る必要性がどこにあるのか?

      7
    • うー
    • 2024年 3月 01日

    賢い買い物も何も、シンガポールと日本では国防上の逼迫度が全く異なるんで、日本は多少無理してでもやらないとマズいじゃん

    よく言われるけど、日本が固定翼機空母を持つとか、中国大陸への直接火力投射能力を保持するとか、10年前なら鼻で笑われて終わりよ?

    アメリカだって、海兵隊を始めとしてアメリカ版A2/ADドクトリンに切り替えてるわけだし、無理してでもやる事はやらんと

    41
      • 匿名希望係
      • 2024年 3月 01日

      最悪イギリスに押しつけられそうだしね>シンガポール

      1
    • 58式素人
    • 2024年 3月 01日

    東南アジアを見てみると。
    オーストラリアとシンガポールにF35が渡されたけど、
    その他の国には渡さない、という理解で良いのかな。

    7
      • バーナーキング
      • 2024年 3月 01日

      少なくともインドネシアとタイはNG出てますね。
      タイは「時期尚早」みたいな扱いだったけど。
      他に欲しくて運用できる可能性ありそうな国も無さそうかな。

      12
        • DEEPBLUE
        • 2024年 3月 01日

        時期尚早以前にタイが中国に傾斜してる現状ではね・・・

        11
          • バーナーキング
          • 2024年 3月 01日

          「時期尚早」はアメリカの言い分なので。
          まあ5〜10年後はどうか分からん、みたいなことも言ってましたので「時期尚早」の中身はまさしくソレでしょうね。
          経済的技術的環境が5年やそこらでそんな劇的に変わるとは思えませんし。

          1
    • 765
    • 2024年 3月 01日

    何やらウクライナでロシア軍のSAM部隊を偵察をしてるとか
    流石に領空外からだとは思うけどよくやるわ

    3
    • k.ziro
    • 2024年 3月 01日

    J-35買ってあげなさいよ

    • 折口
    • 2024年 3月 01日

    シンガポールは英植民地の名残として、地域経済の利権が集中する構造を東南アジア内でも引きずっています。マラッカを通過する東南・東アジア向け貨物の大部分が同国を経由するのもその一つと言えるかもしれません。隣国マレーシアを筆頭にその事を快く思っていない域内国は少なくないですし、そのマレーシアに至ってはシンガポール島の領有権を主張して過去何度か争っています。東インド会社も植民地も戦争も過去の話ですが、経済構造とそれらへの東南アジアの人々の意識は変わっておらず、香港のように民族的・地域的に正しい所有者の元に還ってしまう事に対するシンガポール政府の危機感は以前より強くなっているかもしれません。まして近年のマレーシアは成長著しく、将来的にシンガポールとの関係が完全に優劣ついてしまう事も避けられないでしょう。

    香港の実質的併合に際して中国政府は大規模な暴動鎮圧キャンペーンを実施しつつも軍事行動はほぼ行わずに事を成し遂げました。優劣が明らかなとき、劣る側にはしばしば戦って抵抗する機会すら与えられません。そういう意味でシンガポールが割高でも質的優勢を得られる高価な装備品を選び続けてきたのは一貫していることであり、今回の件もそのような流れなのかなと思いました。

    4
    • 航空太郎
    • 2024年 3月 02日

    シンガポールのような小さな国(564万人)でF35を20機も購入するとは予算大丈夫かちょい心配です。シンガポールの国家予算は11.6兆円。150 億ドルがシンガポールドルとすると、1.67兆円ですから国家予算の10%相当。無理してる感じがします。

    1
      • 名無し
      • 2024年 3月 03日

      シンガポールは明るい北朝鮮だから大丈夫大丈夫笑

      シンガポールの心配するより中国、ロシアの隣の国である足元を気にしないと…

      2
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