ウクライナ戦況

ウクライナ空軍は29日にSu-34を3機撃墜したと発表、ロシア人は否定

ウクライナのオレシュチュク空軍司令官は29日「東方向、アウディーイウカ方向、マリウポリ方向でSu-34を計3機撃墜した」と発表、RYBARは「ウクライナ側はロシア軍機の損失を誇張するプロパガンダで士気を高めようとしている」と主張して撃墜を否定した。

参考:Силы обороны уничтожили еще два российских Су-34: за день – 3 сбитых самолета

もうロシア軍機による航空支援の規模が変化するかどうかで判断するしかない

オレシュチュク空軍司令官は29日午前7時「東方向でロシア軍のSu-34を撃墜した」と、午前11時「アウディーイウカ方向とマリウポリ方向でSu-34を2機撃墜した」と発表、これが事実なら2月17日以降にロシア軍は13機の航空機を失ったことになる。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

但し、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「ウクライナ側はロシア軍機の損失を誇張するプロパガンダで士気を高めようとしている」「2月17日から29日までに10機のSu-34が撃墜されたという嘘がある」「ロシア軍はウクライナ軍の防空システムを可能な限り無力化している」「過去6日間でP-18、S-300ランチャー、NASAMSランチャー、Buk-M1などを前線方向で破壊した」と主張し、Su-34が失われた証拠は1つもないと反論している。

そもそも航空機の撃墜を裏付ける視覚的証拠が登場するのは稀で、ロシア人ミルブロガーらも「(仮に事実であっても)ロシアに不利な情報は公開するべきではない」というスタンスなので、RYBARが真実を述べているかどうかも定かではなく、もうロシア軍機による航空支援の規模が変化するかどうかで判断するしかない。

ロシア軍が損失に耐えかねて航空機の運用を縮小すれば「戦場での前進速度」に変化が見られるだろうし、ウクライナ軍が損失に耐えかねて防空システムの運用を縮小すれば「戦場での後退速度」に変化は起きないだろう。

関連記事:ウクライナはSu-34撃墜、ロシア人はアーチャーやNASAMSの破壊を主張
関連記事:ヘルソン州ヘニチェスクでSu-34が墜落、ウクライナ軍による撃墜の可能性も
関連記事:ウクライナ空軍がクラスノダール上空でA-50を撃墜、S-200を使用か
関連記事:ロシア軍はA-50を下げざるを得ない、その分だけ前線上空の認識力が低下
関連記事:A-50撃墜はドニプロ市攻撃の報復、ウクライナ空軍司令官が関与を仄めかす
関連記事:ウクライナメディア、アゾフ海上空でロシア軍のA-50を撃墜したと主張
関連記事:ウクライナ軍参謀本部、オデッサ方向でSu-30SMを撃墜したと発表
関連記事:ウクライナ空軍、マリウポリ方面でロシア軍のSu-34を1機撃墜したと発表
関連記事:ウクライナ空軍、南部方面でロシア軍のSu-34を3機撃墜したと発表
関連記事:偽物かどうか見破るのが困難な装備のダミー、ロシア軍は数百の弾薬を浪費
関連記事:ゼレンスキー大統領が自軍の戦死者数に言及、3.1万人の兵士が死亡

 

※アイキャッチ画像の出典:Dmitry Chushkin/CC BY-SA 3.0

ロシア人はオルリフカ占領を、シルスキー総司令官は敵を打ちのめしたと主張前のページ

シンガポールのF-35A発注が濃厚、国防相がベストタイミングだと言及次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ、インフラを攻撃するロシア軍の狙いは大量の難民を欧州に押し付けること

    ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏は22日「ロシアの狙いはインフ…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ東部戦線での戦い、気が遠くなるような命がけの隠れんぼ

    ウクライナ東部戦線で繰り広げられる地上戦はUAVと砲兵を中心に展開して…

  3. ウクライナ戦況

    バフムートの戦い、ロシア軍の攻勢はウクライナ軍を押し出すことに失敗

    バフムートを巡る戦いは「戦勝記念日までの占領」を意図したロシア軍の攻勢…

  4. ウクライナ戦況

    アウディーイウカ方面の戦い、ロシア軍がオケレタイン方向に突破中

    DEEP STATEとRYBARはアウディーイウカ方面について「ロシア…

  5. ウクライナ戦況

    ドニエプル川左岸地域へのウクライナ軍上陸、まだ誰も確認できていない

    米国の戦争研究所(ISW)はロシア人軍事特派員やロシア人情報源の情報に…

コメント

  1. 本当にウクライナ軍の指し示した場所に戦闘機が墜落したのか?という考察・・・

    7
    • たむごん
    • 2024年 3月 01日

    管理人様の仰る事に、同意します。

    ロシア空軍の機数も大事ですが、何ソーティなのか・どのように空軍の活動量が変化しているのかが重要と思います。
    ウクライナ戦争の初年度、ロシア空軍の活動が不活発であると言われてきましたが、温存した理由の1つにエンジンなどのキーデバイスが考えられます。

    1機も撃墜しなくとも、消耗部品・交換機材がなくなれば活動はできなくなります。
    逆に、戦闘機の活動量を上げることができるのであれば、撃墜された機数を補う事もできます。

    中国は作ろうと思えばかなりの物は作れるうえに、軍需物資の流入も指摘されています。
    実体は不明なため、管理人様の仰る通り活動量を見るのが適切かと思います。

    (2023年7月28日 “中国がロシアに戦闘機部品など輸出は規制の抜け道” 米警戒 NHK)
    (2023/11/07 中国に狙われた工作機械:日本経済新聞 日経ビジュアルデータ)

    19
    • Dr.Strangelove
    • 2024年 3月 01日

    この件は特にウクライナ支持者の間で「ロシア空軍の大打撃」として語られていますが、個人的にはそれは違うのではないかと思いますね。まずSu-34が13機撃墜されたというのが証拠のないウクライナの公式発表であることから、機数が盛られていることはほぼ確実でしょう。(ただし数はともかく撃墜自体は本当だと思われる)

    また、これが重要ですが、ロシア空軍は戦争勃発以来2年間ずっと活動は低調でした。それが今になってギアを上げてきているということはある程度の勝算があるのでは。

    ロシア空軍の勝算とは、ずっと言われていることですがウクライナのSAM枯渇ではないかと思います。例え100機撃墜されたとしても、ウクライナのSAMを0にできれば航空消耗戦では勝利です。パトリオットが前線に移動していることや、数日前NASAMSが前線近くで撃破されたこともSAM枯渇によるものかと。

    今勝負に打って出ての狙いとしては、憶測ですが航空支援を受けたロシア陸軍がどれほど戦果を上げられるかを見極め、将来大攻勢を実施するか判断しているのではないかと考えました。昨年はもっぱら後方の都市に撃ち込まれていたミサイルが前線近くの軍事的目標を狙い始めているらしいことも傍証としてあげられます。

    40
      • Dr.Strangelove
      • 2024年 3月 01日

      追記。

      ロシア軍の航空・ミサイル攻撃におけるターゲティング能力は戦争開始以降低い物でしたが、軍事目標への攻撃が盛んに行われているらしい以上、これが向上してきているのではないかと今思いました。

      事実だとすれば、ロシア軍はどうやってターゲティング能力を向上させたのでしょうか?パッと思いつくのは指揮系統の再編、ドローン偵察の拡大、戦況改善に伴う協力者の増加あたりですが、詳しい方がいればご教示願いたいです。

      12
        • MD
        • 2024年 3月 01日

        ドローン偵察の拡大というのが挙げられるのではないでしょうか。
        UAVオペレーターが発見したウクライナの電子戦車両と思われる目標へのヘリによる攻撃・破壊、
        砲撃にはなりますが、UAVが追跡・発見した目標への攻撃・破壊といった映像がありますので、
        ドローン偵察の拡大というのが一因ではないかと思います。

        最近情報を追い始めた一般人ですので、的外れ・見当違いでしたら申し訳ありません。

        2
        • 犬の〆
        • 2024年 3月 01日

        詳細は分かりませんが、ウ軍は開戦後の早い段階で、ドローンの観測データから攻撃地点を取得して、支援部隊に砲撃地点の座標(気候条件も加味した情報)をリアルタイムに知らせるアプリを開発していたと聞いたことがあります。もし、これらのソフトを露軍が鹵獲。もしくは似たようなものを自作していたら(たぶんそんなに難しいことではないでしょう)、さらに前線の通信環境もpoleである程度コントロールできている状態だとしたら、こうした芸当もできなくはないのでしょうか。

        5
      •  
      • 2024年 3月 01日

      >この件は特にウクライナ支持者の間で「ロシア空軍の大打撃」として語られていますが

      信仰心が強い彼らは証拠なんかなくてもウクライナが言ったことはすべて事実だしロシアの言うことはすべて嘘。
      もしロシアがF16を撃墜したと発表しても証拠がないと切り捨てるし、証拠を突きつけられても捏造だと言うだろう。

      16
      • 2024年 3月 01日

      >機数が盛られていることはほぼ確実でしょう。
      A-50やイリューシン等の大型機と違い戦闘機はチャフフレアー撒いてマッハ2で逃げきる可能性がある。滑空爆弾の射程は70〜100キロだから防空を意識すると射程ギリギリで発射したあとチャフフレアー散布で一気に低空まで下がると思うのでパトリオット(射程100キロ)発射からの時間的猶予が毎回全くないわけでは無いと思う。
      想像だが高高度で最高速度にてのトス爆撃とか射程を伸ばして撃墜されにくい方法を試していると思う。

      4
        • nachteule
        • 2024年 3月 02日

         航空だと非ステルスなら探知は容易だし、どこにミサイルが配置されているかにもよるが爆弾の最大限の射程稼ぐならスピードも高度も要るんだから投下後に理想的な脱出が出来るかも怪しい。
         マッハ2が出せる状態なんて条件が限られて燃料の問題もあるし、そこまでの運用考慮しての基地選定や空中給油体制構築しているかも分かんないんだよね。

    • 2024年 3月 01日

    基本どっちも都合の悪い事は言わないし、今までのを見るとウクライナって戦果盛りますしね。
    撃墜が本当なら以前からよく言われてる、パトリオットを積極的に前に出してるんですかね?
    何と言うかもうそれぐらいしか手段が無いって事になるから、それはそれで大丈夫なのかと思ってしまいますが。

    正直ロシアが損害を気にするなら落とされた時点で出撃を控える気がするんで、それをしないなら損失してでも達成したい目的があって、それを達成できるって考えなのではないでしょうか。
    現状だと進軍を速めるのと、ウクライナ軍を叩くだけ叩いておきたいとか?

    まあ、ロシアにしろウクライナにしろ陸軍国家ですし、空や海でどうなろうが結局陸戦が全てでしょうけど。

    22
      • たむごん
      • 2024年 3月 01日

      仰る通りと思います。
      100体0(消耗なし)の攻撃・防御は、国家間戦争では非現実的ですからね。

      ウクライナ軍の防衛線を構築する前に勝負に出た、トランプ元大統領の当選による停戦など。
      時間的な制約・終わりが、見えてきたのもあるかなと。

      ウクライナがリスクを取って防空兵器を前線に出している可能性もありますし、様々な理由があるかと(後々明らかにななると思いますが…)。
      結局の所、我々が今理解しやすいのは、仰る通り陸戦の結果になりそうですね。

      3
    • 名無し
    • 2024年 3月 01日

    2022年のまだウクライナが元気だった時ですら年間60機くらいの撃墜(フレンドリーファイア含む)なんですけどねえ
    半月で13は統計的にも信じられない

    13
      •  
      • 2024年 3月 01日

      13機を信じるかはともかくとして、当時よりもロシア空軍の活動は活発になっていますからその分撃墜ペースが上がっても矛盾ないと思います
      あるいはSu-34自体の量産成功によってある程度損壊を我慢してでも対地攻撃を行う方針になったのかもしれません
      また同じことがウクライナの側にも言え、フランケンSAMの成功によって損害を覚悟でSAMを前進配備するようになった可能性もあります
      まあ真偽はともかくとして要因は色々と考えられます

      30
        • 名無し
        • 2024年 3月 01日

        今まで一週間に一機ペースだったのが毎日は信じられないですよ。
        逆にロシアによる防空兵器の破壊画像は増えてるのにですよ

        4
    • 名無し
    • 2024年 3月 01日

    ウクライナ侵攻において空軍関連の情報で一番確度の高い情報源であるFighterbomberがウクライナの撃墜プロパガンダにもううんざりだとして、いちいち否定せず本当に撃墜された時だけ情報発信するとしていたので、恐らく撃墜の殆どはデマである可能性が高いのかなと

    27
    • gepard
    • 2024年 3月 01日

    Twitterで100万人のフォロワーがいる最大手戦況報告アカウントの”Osint Defender”は「証拠なしで完全に馬鹿げている」と一蹴。
    通常少し親ウ寄りだったこのアカウントですら戦況を誤魔化すプロパガンダとまともに取り合わない。

    滑空爆弾が大量使用される戦況に変化がないのに、証拠なし(若しくは出せる証拠が不鮮明な,機影にすら見えない写真一枚)ではこれまでの主張のほとんどは架空の戦果としか言いようがない。
    ちなみにロシア側は昨日、視覚証拠付きでbukが破壊される様子を公開している。

    30
    • つぐみ
    • 2024年 3月 01日

    戦果は戦闘機の撃墜数じゃなくて奪還した領土の面積で語れよ

    17
      •  
      • 2024年 3月 01日

      地図だけ見ててください

      1
      • Whiskey Dick
      • 2024年 3月 01日

      航空戦力は望む時に望む規模の攻撃ができるので運用面の自由度は高いが、高いコストと技量が必要で陣地の占領ができないのが欠点。アメリカ軍なら敵の陸上戦力を空襲で破壊し尽くしてから陸軍を送り込む。
      但し密林や山岳地帯では隠れる場所が多いため空襲による殲滅が難しい。ベトナムではアメリカ兵は作戦が終わるとヘリコプターで去ってしまい「陣取りゲーム」に失敗した。アフガニスタンではタリバンが山岳地帯の村に隠れてしまい、誤爆も嫌だし兵士も送り込めず、支配できたのは平地の都市部だけだった。
      戦闘機は非常に高額でパイロットもエリートなので、撃墜できれば敵に与える心理的ダメージは大きい。空からいきなり現れる脅威に晒されないだけでも地上で戦う兵士に希望を与えられる。

      2
      • それ
      • 2024年 3月 01日

      正にそれ。
      Su-34何機落としたって話は都市を奪還され続けている戦況から目をそらす為のプロパガンダだろう。

      9
    • 58式素人
    • 2024年 3月 01日

    1月まで、撃墜は止まっていたのですから。
    2月になって撃墜ができる様になったのは、変化でしょう。
    キーウの防空をおろそかにしている様子でもないし。
    変化の内容を知りたいものです。
    対空機材が増えたのか、戦術の変更か、それともその両方か。
    機材が増えたのなら良いのですが。

    5
    • 暇な人
    • 2024年 3月 01日

    嘘でないならキエフとかの防空部隊を前線にもってきて相打ち覚悟で投入しているとかですかねえ。

    大戦略とかで戦力優位になるとたまにやりますが、実戦だと双方かなり死にますからね。
    あまり賢い使い方とは言えない。

    4
    • ak
    • 2024年 3月 01日

    なんで一日一機ぐらいにしなかったんすかね...
    もはやプロパガンダとして成立してない

    12
      • 2024年 3月 01日

      鬼のように空爆されてるから地獄の火の中にいる兵の精神の安定を保つためにも必要なんだろ。

      10
        • kame
        • 2024年 3月 01日

         実際に爆撃回数が減少するなら効果もあるんでしょうが、嘘八百だったら前線の兵士からしたら「また嘘吐いているよ」と司令部に対する不信感を生む原因になるだろうし、逆効果でしょうね。

        9
    • ポンポコ
    • 2024年 3月 01日

    急に撃墜数が増えていますね。
    たぶんウクライナ軍の誇大戦果だと思いますが、わかりません。

    だから、管理人さんや皆さんのおっしゃるように、実際にロシア軍の爆撃が影響を受けるかどうかで判断するしかないでしょうね。

    また、これは結構重大なことですね。

    なぜなら、ロシア軍の優位は、砲爆撃の優位です。

    ですから、ロシア軍の爆撃の減少は、つまり滑空爆弾の使用回数の減少は、ロシア軍の優位性をかなり減少させますから。

    4
    • あああああ
    • 2024年 3月 01日

    まあ、ほぼ全員が携帯スマホを持つような現代では、陸地上空での撃墜であれば、(A50の件のように)大抵は撃墜を裏付ける画像や動画などがSNSなどで複数発信されるように思う。それが無い場合、撃墜はプロパガンダの可能性の方が高いのではないだろうか。
    ちなみに、2021年のロシアの携帯スマホ普及率は169%、2022年におけるウクライナの携帯スマホ普及率は144.6%で、それぞれ高いです。

    また、2月25日TBSや2月27日産経によると、ウクライナ議会にて最大50万人規模の追加動員の法案審議が未だに続いてるようですが、法案審議が続くということは兵士不足も続いてるということでしょうね。
    撃墜を誇っても、戦う兵士がいなければどうしようもない。まずは動員が必要なんでしょう。

    5
    • 匿名希望係
    • 2024年 3月 01日

    撃墜見込みとフランカー系で区別がつかないのとセットだろうな
    話半分として7機になんらかの損害を与えたけどSu-27だったーとか普通に来そう

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP