日本関連

日米首脳会談、共通ジェット練習機の共同開発・生産に向けた部会設置で合意

毎日新聞や日本経済新聞は「日米がT-4後継機を共同開発する方向で調整を進めている」と報じていたが、日米首脳会談後に発表された共同声明の中でも「共通ジェット練習機など最先端技術の共同開発・共同生産を模索する作業部会の設置を約束した」と言及している。

参考:United States-Japan Joint Leaders’ Statement
参考:Drone sales, missile collaboration and new C2: Japan, US tighten defense ties

共通ジェット練習機など最先端技術の共同開発・共同生産を模索するため作業部会の設置を約束

毎日新聞は先月23日「日米がT-4後継機を共同開発する方向で調整を進めている」「4月10日の日米首脳会談で共同開発に関する合意を発表する見込み」「生産コストの低減に加え、自衛隊と米軍が訓練段階から共通機体を使用することで連携強化を狙っている」と、日本経済新聞も今月2日「T-4後継機を日米で共同開発する方針を確認する」「両国が運用するF-35等を想定した実戦的な訓練が積める機体開発を想定している」と報じていた。

出典:航空自衛隊

日米首脳会談後に発表された共同声明の中でも「両国は将来のパイロット訓練や戦闘準備が整った次世代戦闘機戦力を維持するための共通ジェット練習機など、最先端技術の共同開発・共同生産を模索する作業部会の設置を約束する」と言及しており、Breaking Defenseも「非常に興味深い言及だ」と述べ上で「両国が共通したジェット練習機を導入するという意味なのか、地上訓練のオプション(シミュレーター)を共同開発するという意味なのかは不明だ」と報じている。

さらに共同声明は「日米の産業基盤を活用するため防衛省と国防総省が共同で主導する防衛産業協力・取得・維持に関するフォーラムを開催し、日米の産業界が提携するための優先分野を特定する」「ミサイルの共同開発・共同生産、前方展開している米海軍艦艇や第4世代戦闘機を含む米空軍機を日本の民間企業で維持するための産業界提携についても関係省庁と調整を行っている」と、日本のAUKUS参加の可能性は「先端技術分野(Pillar-II)のみの協力を検討している」と言及しており、事前に報道された通りの内容だ。

出典:PHOTO BY Bryce Bennett

まだ詳細は不明だが、日米は共通ジェット練習機(日本にとってはT-4後継機)の共同開発・共同生産を行う方向で話を進めるのだろう。

関連記事:日米によるT-4後継機の共同開発、実戦的な訓練が積める機体開発を想定
関連記事:日米はT-4後継機を共同開発する方向で調整、自衛隊だけでなく米軍も採用?
関連記事:FA-50輸出拡大、米国経由で日本のT-4後継機調達に参加は可能か
関連記事:防衛装備庁、航空自衛隊の練習機T-7とT-4の後継機検討に必要な情報を募集
関連記事:開発に手間取るT-7A、米空軍はIOC宣言を2027年から2028年に延期
関連記事:デジタルエンジニアリングの落とし穴、誰もT-7Aの完成時期が分からない
関連記事:芳しくなくT-7Aの開発状況、量産機引き渡しは2023年から2025年以降に変更
関連記事:ロッキード・マーティン、米空軍が採用を検討している戦術訓練機にT-50Aで挑戦
関連記事:ボーイング、米空軍が調達計画している新しい戦術訓練機にT-7Aを提案することが濃厚
関連記事:米空軍に続き米海軍も高度な戦術訓練機の調達を発表、最大の目的はF-35運用時間の削減か

 

※アイキャッチ画像の出典:首相官邸

ウクライナ外相、防空システムを確保するため強硬な外交手法に変更前のページ

米海軍長官、コロンビア級原潜の遅れはノースロップ・グラマンに原因がある次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    非常に賢い判断、日本がグローバルホーク導入を再検討する理由

    日本が2021年に導入予定の無人偵察機「RQ-4 グローバルホーク」に…

  2. 日本関連

    アフガニスタンから撤退を完了した米軍、日本も派遣した自衛隊機に撤収命令

    米国はアフガニスタンから米軍を期限通り撤退させたと発表、これを受けて日…

  3. 日本関連

    ロシアの侵略に立ち向かうウクライナの外国人部隊、元自衛隊官50人が志願

    ウクライナが創設したロシア軍の侵略に立ち向かう外国人部隊に「日本人約7…

  4. 日本関連

    RQ-4導入中止を覆したのは安倍政権、イージス・アショア断念の代償として導入継続を決定か

    日本が導入を進めているグローバルホークについて防衛省が2020年春に導…

  5. 日本関連

    1機200億円と言われる次期戦闘機「F-3」のライフルサイクルコスト問題

    海外輸出が難しい日本の次期戦闘機「NGF(仮称F-3)」のライフルサイ…

  6. 日本関連

    日本海に墜落した空自F-15DJ、機体の一部が発見されるも乗員の安否は不明

    航空自衛隊小松基地に所属する飛行教導群のF-15DJが訓練飛行中に日本…

コメント

    • YA
    • 2024年 4月 11日

    どこを共同でやるかはこれからなんだろうけど、アメリカの発表ではかなりATTを意識した内容に見える

    >We also commit to establishing a working group to explore opportunities for future fighter pilot training and readiness, including AI and advanced simulators, and co-development and co-production of cutting-edge technologies such as common jet trainers to maintain combat-ready next-generation fighter airpower.

    14
    • ななし
    • 2024年 4月 11日

    ボーイング救済の案件になる予感

    38
    • あまつ
    • 2024年 4月 11日

    『F-35等を想定した実戦的な訓練が積める機体』なのでやはりかなり戦闘機ライクな、ひょっとするとステルス性まで加味された機体になりそう。
    となると実戦機材への派生等、色々ありそうで夢が広がるが・・・それ、T-4後継なの?という疑問が当然沸くねぇ・・・。
    仮にT-4後継とするなら初等訓練機材も刷新しないと、ズブの素人がやっとこプロペラ機を操れるようになったとこでいきなりコレに乗るの無理だろうからギャップを埋める機材か施策が必要になる。
    それともデジタル制御の恩恵で中等練習機的な味付けのソフト組み込んで~ってな事も出来るのだろうか?

    5
      • 匿名希望係
      • 2024年 4月 11日

      T-4の戦闘機基礎課程からの後継なんでしょうね。

      7
    • ユーリ
    • 2024年 4月 11日

    とりあえずの橋渡しは第13飛行教育団にT-4(40機程度か)を残しておけばいいので今回の導入は第1航空団を想定してT-7AやM-346クラスの機体を入れることも可能かと
    むしろ高等教育のコストを日米ともに現在実施中の戦闘機よりはるかに安くするには戦闘能力をもたない練習機でやりたいという話になりそう

    9
      • 兵長
      • 2024年 4月 11日

      T4って40機もあるんですか?
      空自さんのことはよくしらんので。

      1
        • 例のアレ
        • 2024年 4月 11日

        連絡任務もあるから大体200機くらいは配備されてる

        19
      • 匿名希望係
      • 2024年 4月 11日

      スバルの特許を見るにT-7後継でやるんですかね。
      たった40機なら

      2
        • ユーリ
        • 2024年 4月 11日

        T-6やPC-21で今回の機体の次に入れ替えるのを想定してましたが
        そういえばジェット機の模倣をする特許がありましたね
        Xで流れてきたのを見ました

      • ガリバタ
      • 2024年 4月 12日

      T-4 + T-7A, すごく説得力があるプランだと思うのですが, T-4 後継機と言っているので T-4 を残すプランがあるのかは疑問だなと思っています。

      どちらにしろ、仮称 F-3 は知らんけど F-35 には複座型がないので、これまで複座戦闘機が担ってきた複座での戦闘訓練を肩代わりするための機体は必要なんだと思います。そして、それはおっしゃるとおり、これから開発せずとも T-7A が存在します。

      ジェットへのコンバージョンのための練習機も必要だと防衛省も認識してるんじゃないかと思うなので、開発するならそっちを T-4 後継機として作るんじゃないかなって思ってしまいます。

      「思う」ばっかりでなんとも説得力のない文章ですが。

      2
        • バーナーキング
        • 2024年 4月 12日

        そのT-4後継機、ってのが1番怪しいんですよね。
        単にメディアやその情報元が次期ジェット練習機を「『T4』後継機」と呼んでるだけじゃないのかと。
        加えて、仮にT-4後継機だったとしても「後継機を導入したから即時全機退役」なんて決まりはないでしょう。
        ましてや200機以上あるT-4、後継機を同数生産するだけでも何年掛かることやら。

        3
    • バーナーキング
    • 2024年 4月 11日

    1番ありそうなのが「T-7Aをベースに日本がイジって日本がT-4後継機として導入(日米で同じ(=T-7Aベースの)機体を導入)」だけどあんまり嬉しくないなぁ。
    「ATT機を共同開発して日本は高等練習機枠復活して導入(T-4後継機ではない)」だと嬉しいがまずなさそう。
    日本の数社が伝えてた「日米で『T4後継機』を(T-7Aとは別に)共同開発して」「共同開発機を日米で導入」的なニュアンスの報道とはやっぱりどっちか違う感じ。

    15
    • 兵長
    • 2024年 4月 11日

    米軍の駒に自衛隊どんどんなってくのかな~
    無駄な心配でありますように。

    9
    • 有人
    • 2024年 4月 11日

    これからの有人戦闘機はネットワークリンクされた共同作戦や無人僚機に最適な指示を出す
    など指令機の役割になり、練習機+シミュレーターがパイロット養成に必須になるはずで
    現状、日本独自で今後のF-35とGCAP用の練習機とシミュレーター開発など困難でしょう

    4
    • 有人
    • 2024年 4月 11日

    これからの有人戦闘機はネットワークリンクされた共同作戦や無人僚機に最適な指示を出す
    など指令機の役割になり、練習機+シミュレーターがパイロット養成に必須になるはずで
    現状、日本独自で今後のF-35とGCAP用の練習機とシミュレーター開発など困難でしょう

    4
    • 干物
    • 2024年 4月 11日

    仮にT-7Aベースになるとして既に開発に参画しているサーブ社との関係はどうなるのか気になりますね。

      • 匿名希望係
      • 2024年 4月 11日

      T-7Aベースだと別案件になりそうだけどね。

      1
    • 幽霊
    • 2024年 4月 11日

    日米で共同練習機を作ってもアメリカと日本以外で採用してくれる国はどれくらいあるんだろう?
    今から完全新規で開発するとなると開発完了までかなり時間がかかるでしょうから開発が完了する頃には需要ば大分低くなってそうですけど。

    1
      • 匿名希望係
      • 2024年 4月 11日

      日米でやる分だけでペイできそうだしな。

      26
    • ブルーピーコック
    • 2024年 4月 11日

    まあT-7なんだろうけど、サーブの担当箇所をそのまま日本企業が担当するカタチになるのか?

    1
      • ブルーピーコック
      • 2024年 4月 11日

      追記∶
      T-7でF-3に対応できるかな。GCAP関連の練習機はレオナルドや(未知数だけど)AERALIS、はたまた共同開発になるのかわからないけど。

      1
    • 58式素人
    • 2024年 4月 11日

    よくは判らないのですが。
    これは、T-7Aの採用+ATTの開発/採用、という理解で良いのでしょうか。
    でも、この程度のことに大統領や首相が出て来るものかな。

    1
      • 匿名希望係
      • 2024年 4月 11日

      T-7Aは完成しているので共同開発にはならないかと

      7
    • 白髪鬼
    • 2024年 4月 11日

    なんかFFA-50とかの飛ばしも出ているようですが、どちらかというとコンパクトで、亜音速で、高い信頼性とそこそこのアジリティを持つ機体に落ち着くんじゃないでしょうか。
    どんどん進化していくアビオニクスに対する適正なトレーニングを提供するための、プラットフォームとしての機能が要求されるでしょうから、むしろエンジンの発電容量や冷却容量の余裕度、柔軟なデータバス設定、CPU周りのアーキテクチャ、モジュール式のコクピットインターフェイスなどの方が重要になると思います。
    ミサイルなどの発射訓練もほぼシミュレーションで済ませるでしょうから、軽攻撃に転用できる様な機能は不要でしょうし、高度なステルス性能も必要ないと思います。

    3
    • ネコ歩き
    • 2024年 4月 11日

    原文を読んでも「T-4後継機」や「中等練習機」を匂わすような文言はどこにも無いですよね。
    日米で作業部会立ち上げを約するとした内容は、
    「将来の戦闘機パイロット訓練と準備」であり、内容は「AIと高度なシミュレーター」を含む「戦闘準備と次世代戦闘機戦力を維持するための共通練習機のような先端技術の共同開発・共同生産」と読めます。
    (英文の解釈方に誤りがあるようでしたらご指摘願います)
    述べられている練習機の性格的にはATTを連想させますが、AIと高度なシミュレーターの開発を含んでいることから、次世代戦闘機になるだろうNGADやGCAPの戦力化時期、或いはその後を睨んだ話ではないかという印象もあります。
    穿った見方をすれば、今後ATTプロジェクトの見直しがあるかもしれません。
    そしてT-4後継機取得は別枠(当たりは付けている)なんじゃなかろうかとも思います。
    T-4後継機や件の作業部会に関しもう少し詳細な説明的内容が公表されるまでは断言するに至りませんが。

    12
    • general
    • 2024年 4月 11日

    素直にM-346にしとけば良かったって展開にならなきゃいいがな
    それくらい今のアメリカ兵器産業への信用がない

    10
      • TKT
      • 2024年 4月 11日

      いっそ練習機をYaK-130にして、海上自衛隊の護衛艦のいずもに乗せる垂直離着陸型艦上戦闘機をYaK-141にできれば簡単なんでしょうが、政治的になかなかそういうわけにもいかないでしょうね。

        • ブルーピーコック
        • 2024年 4月 11日

        Yak-201ですらなくYak-141が存在するとは、そちらの世界のソ連は凄いですね

        9
    • DEEPBLUE
    • 2024年 4月 11日

    T-7を日本の金で作らせるだけにならないと良いが・・・。

    7
    • パラベラム
    • 2024年 4月 11日

    ネガティブな発言も散見されますが日本の防衛産業にとっても両国間の関係強化にも良い話ではあると思う。

    9
    • F-117A
    • 2024年 4月 11日

    T-4は国産やったのに、なんで共同開発にするのかな。
    双発の練習機の方がいいのに。

    6
      • an
      • 2024年 4月 12日

      国産潰し、ボーイング救済
      日本のためにはならんけど、どうせトランプがひっくり返すだろう。それでもっと日本にとっては悪い条件を飲まされる。

      8
    • 匿名
    • 2024年 4月 11日

    T-4後継は見たいが、T-7A改は見たくない

    7
    • 匿名01
    • 2024年 4月 11日

    T-4後継はこれで日米共同開発路線で行くのがほぼ確定したようなものだけど、空自T-7後継機もこれで大まかな方向性が決まることになりそうだなと

    • 2024年 4月 12日

    要するに実機開発するにしてもT7Jを作るって事ね

    1
    • 匿名
    • 2024年 4月 12日

    国産推進するからにはエンジン日本のを使えるようにする可能性高いと思うが適当なサイズがまだ分からん

    3
    • f-3
    • 2024年 4月 12日

    意外と日本がエンジン作るかも。

    • バーナーキング
    • 2024年 4月 13日

    木原防衛大臣の記者会見でもいまいち要領を得ないけど、
    ・まだ具体的に何かが決まってる訳じゃない
    ・少なくともT-4をごっそり置き換えるモノではない
    ・純国産は基本考えてない(理由は航空機の高度化、高額化等)

    …T-4の主な用途である中等練習機をFBW&完全グラスコックピット化したところでいうほど高くなるとも思えんし、共同開発・生産に伴うお約束のドタバタを含めたらかえって高くつきそうだけどなぁ。
    米と組むことで輸出の可能性が広がるから、という話ならまだ皮算用としては成立しそうだけど。

    • モック
    • 2024年 4月 14日

    この流れって日本の民間企業に軍事に関わる仕事があるよ、と企業育成、企業内部門育成でも考えてるんでしょうかね。
    日本の軍事費増額で米国からの購入品も普通に多かったので返礼していく流れの一つの象徴なんでしょうか。

    • tttegq
    • 2024年 4月 22日

    日本も欧米も製造業、開発能力がかなり低下していることを自覚して立案、計画、決定してるのかな?
    40年以上前からの日本の没落を予想していたが的中。謙虚になるべくではないか?
    開発力の低下は数量で補う戦略が必要。もちろん、低コスト。ハイテクは最小限。
    T-4練習機の設計図を紙から電子化。コクピットだけ新しくすべき。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP