カナダ海軍のヴィクトリア級潜水艦に対する愛情は凡人に推し量ることが不可能なほど深く、バンクーバー島沖で海底に激突した3番艦コーナー・ブルックは修理中に火災が発生しても、圧力テスト中にメインバラストタンクが破裂しても修理が続けられ、約14年の時を経て4月2日に現役復帰を果たした。
参考:Canadian submarine returns to service after $715M in post-collision work
カナダ海軍はコーナー・ブルックの復帰で同時に2隻の潜水艦を運用できるようになった
カナダ海軍のヴィクトリア級潜水艦に対する愛情は凡人に推し量ることが不可能なほど深く、3番艦コーナー・ブルックは2011年にバンクーバー島沖で海底に激突し、船首方向の耐圧殻に修復不可能なほど損傷を受けたが、カナダ海軍はコーナー・ブルックを見捨てることが出来ず修理することを決めた。
2014年7月に始まったコーナー・ブルックの修理は予定の2017年には終わらず、2019年にはコーナー・ブルックで謎の火災が発生し、2020年3月には圧力テスト中にメインバラストタンクが破裂し、何度も修理を重ねて4月2日に現役復帰を果たしたらしい。
現地メディア=CTV Newsは「バンクーバー島沖の事故から約14年の時を経てコーナー・ブルックが現役に復帰した」「事故で損傷した部分の修理とシステム全体のアップグレードを合わせて7.1億加ドルの費用がかかった」「コーナー・ブルックは船首の構造的修復、耐圧殻とバラストタンクで見つかった腐食部分の修理、運用能力を向上させるための技術的要件の変更(56件)が施され、L3Harris製でバージニア級潜水艦に採用されているものに近い電子光学マストも取り付けられた」と報じている。
🟢 #HMCSCornerBrook is back online and ready to return to operations. Freshly upgraded, it’s now the most advanced submarine in the Canadian fleet, and will play a key role in supporting a free and open Indo-Pacific region.#HelpLeadFight@CanadianForces pic.twitter.com/OZNkrXx3h7
— Royal Canadian Navy (@RoyalCanNavy) April 2, 2025
カナダ海軍も3日「コーナー・ブルックは作戦に復帰する準備が整った。最新のアップグレードが施されたため海軍の中で最も先進的な潜水艦となり、自由で開かれたインド太平洋地域を支援する上で重要な役割を果たすだろう」と発表、ヴィクトリア級潜水艦は新型潜水艦の取得が予定されている2030年代後半まで運用が続けられる予定だ。
因みにCTV Newsは皮肉たっぷりに「カナダ海軍は過去10年間、複数の潜水艦を同時運用することが出来なかった」「コーナー・ブルックの復帰で同時に2隻の潜水艦を運用できるようになった」と指摘している。
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※アイキャッチ画像の出典:Royal Canadian Navy
え…エイプリルフール5日目…?
割とまじめに日本の退役潜水艦借りた方がいいんじゃあ?
自衛隊の潜水艦って北極海の通過実績ってありましたっけ?
この辺が日本政府がカナダへの潜水艦輸出にあまり積極的ではない理由なのでしょうか
日本は基本的に潜水艦の海外移転に消極的ですよ。政府が積極的だったのは唯一豪州案件だけです。
エジプトへのそうりゅう型潜水艦の輸出はまだ進んでた気が?
本邦の防衛装備海外移転事業は両国政府間で移転協定を結ばない限り無いのと同じです。
両国の企業同士がいくら協議しようと事業化は成立しない仕組です。日・エジプト間で同協定締結を視野に協議中という動きや情報は現在ありません。
そんなに大事な潜水艦なら極寒の北極海に出さないでドックにしまっておけばいいのに
日本目線で見れば、この状況でアメリカにに強気にいけるのは、ヌクヌクお気楽すぎて羨ましいですね。
極東でこんなボロボロになったら、環礁を埋め立てて基地造成・ミサイル配備されたり、何があるか分からないわけですから…
別に必要以上に米国相手に下手に出る事は無いでしょうに。カナダの輸出は米国経済に大きな影響を与えるエネルギー関係や農作物でそれは自動車や鉄鋼、半導体みたいに米国内で簡単にどうこう出来る類いの物ではない。そして米国の代わりに中国がいたりする訳で米国が損をして中国が得をする未来もあるし、軍事的な侵略に関してはカナダにロシアなり中国が足場を築くなら困るのは米国になる。
立ち位置を理解した上で立ち回っている感じはするけどな。
カナダ産の原油は、超重質油があったりして、軽質油と違ってなかなか難しいんよね。
天然ガスの生成物を使って、柔らかくしてるから、アメリカ向けの天然ガス輸出が狂ってきたら影響がでてくる可能性もあるのよ。
アメリカは原油在庫が増えて、国内生産量は維持・カナダ産の輸入減少データでてるから、ここからどうなるのか注目だよね。
今月末は、カナダの選挙もあるからね。
(2025年3月20日 米のカナダ産原油輸入が2年ぶり低水準、関税受け=EIA ロイター)
カナダさん、日本の中古潜水艦を買いませんか?
領海もの凄い広くて困ってるでしょうし、アメリカ離れできますよ。
海自の潜水艦は短サイクルでの退役を前提に運用してるから退役間際だと船体構造にかなり負荷がかかってるとか話を聞くけど実際のところどうなんでしょうね
海自の中古潜水艦の輸出が現実として検討に上がるかどうかはともかくとして、酷使されてヘタっててもコリンズ級やヴィクトリア級よりはずっとマシな気もしますが…
海自潜水艦は規定の運用負荷で規定の運用期間における規定の性能を保証する設計で建造されています。例えば計画最大潜航深度の安全率は経年劣化で低下しますが退役間際でも設計上の規定性能を維持しています。
船殻及び艤装品は3年に一度定期点検整備を受け必要な補修や改修が行われます。バッテリーは定期点検整備のおりに6年に一度の間隔で交換されます。
なるほど、詳しく教えて頂きありがとうございます
海自の潜水艦建造・運用ドクトリンの都合上順次退役・解体しているものの、艦としてはまだまだ運用可能ではあるわけですね
他国からすれば贅沢な話ではありますが、まぁこればかりは必要経費と割り切るしかありませんわな
海上自衛隊の潜水艦隊、一定以上の隻数、新規建造を維持し続けていますよね。
実戦配備・訓練・補修改修、安定してローテーションできているのだろうなと感じています。
日本は複数のチョークポイントを抱えているうえに、経済面で見れば、コンテナ船の北米~北東アジアの重要航路にもなっている大隅海峡・津軽海峡もあります。
仰るような目に見えにくい部分で、バックヤードの方々の御尽力が、日本の抑止力を支えているのでしょうね。
(北東アジア-北米コンテナ航路の日本近海における通航海域の把握・分析 運輸総合研究所)
えーっと…どうなのこれ?(困惑
平時は兵器の運用サイクルが長いですなぁ…
修理は修理でノウハウ維持になりましょうが、複数運用できない(1隻メンテしてたら海域フリー)はイカンでしょ…
修理するからとか言ってないでせめて3隻には増やすべきなのでは
カナダ海軍のヴィクトリア級潜水艦は4隻在籍しています。イギリスの旧アップホルダー級を購入しカナダでメンテしたものですが、悪運と不手際が重なり稼動艦が1隻も無いという時期もありました。
安物買いの銭失いを地でいく問題艦級です。
ノウハウを維持したかったんだろう
修理も含めて
一度失うと取り戻せない
最早、自力で新型が作れるのではないか?
コンコルド効果の実例作りかな?
修理に14年、稼働する潜水艦が2隻に増えたよやったね!(自虐
…こんなんでアメリカに指を立ててるとか正気なのか、カナダ…
日本目線で見れば、仰る通り、考えられないなと。
カナダみたいに、安全保障をこれくらい気楽にヌクヌク考えてたら、極東だと良くて紛争・最悪は戦争になっているでしょうし…
カナダは、ウクライナ戦争について声高に叫んでイメージ形成していますが、本当に安全保障に関心が高いのか?疑ってしまいますね。
アメリカ海軍の艦艇の修理・修繕体制がよくないというのはしっているがカナダのは想像以上ですね、
乗艦する前に1週間精進潔斎して、教会でお祈りして、お守りもらってからでないと乗りたくないですね。
きっと乗員はありとあらゆるジンクスを担いでから乗艦しているかと
>カナダ海軍のヴィクトリア級潜水艦に対する愛情は凡人に推し量ることが不可能なほど深く
ホントなんなんだろうか……
海底に激突するくらい深い…
単純に比較してはいけないけど衝突した「そうりゅう」は衝突してから2年を切る期間で再就役している。
潜水艦の数も足りないし、重要な区画の破損では無かったように思うし、何よりもまだ新しいから時間とお金を掛ける意義は有ると思う。台湾でも無いのに貴重な潜水艦と言うだけでコーナー・ブルックにここまでする必要はあるんだろうか。
愛しの旧車を大事に維持している感じですかね…
実戦に使えるんでしょうかこれ
旧車會は大嫌いですが旧車フルレストア動画は好きで良く見ます。
けど摩耗やサビに侵される金属部品はともかく、ゴムや樹脂など入手困難なパーツは高い自製能力が必要な世界なんですよね。
乗り続けたいからという意志ではどうにもならない、自分では手を出す気はもうとう持てない世界ですね。
カナダも米カナダ州と言われますし、米国同様に議会の新造ハードルがめっちゃ高いのでしょうかね…。
14年間かあ。労働者も定年退職していくし5か年計画とかそれぐらいに期限区切って物事を進めたい所・・・
今までの実績から言って本当に2030年代まで動くんだろうか。
修理ができたからといって、また故障しない保証は全くないわけで。
トランプもトランプだとは思うが、カナダのカーニー政権もアレだな?永らく政権与党から遠ざかっていて、ここらへんの軍事面での問題を把握した上で、対米自立を打ち出してんのか?自分達の軍部は米国の光学機器入れて最先端になったとか世迷言吐いてるが?
米国が嫌ならイギリスのアスチュート級でも借りたら良いのに(あっちも米国製品だらけな上に問題も沢山抱えてるが)
本気で北極海がロシア海軍の湖になりそう
米中に対抗するならそれなりの経済的、軍事的な実力を維持しておけ…
日本が少なくとも10年前に理解させられた自明の事実です。
どうするのでしょうね。
冷戦期に一度検討したように、仏/英の原潜を買おうとするのかな。
当時、仏のリュビ級は遅い/騒音が大きい、
英のトラファルガー級は発射管の数が少ない、と言って、
結局、冷戦終結とともに立ち消えになったと憶えています。
今だと、シュフラン級とアスチュート級かな。
シュフラン級は遅いのは一緒だし、アスチユート級は米国製機器が多いみたいだし。
ヴィクトリア級導入時には、バラード社のAIPを試すような話もあったのだけど、
音沙汰なしのようだし。
韓国かスペインから完成艦を最大12隻購入する計画を進めてますでしょ。
そうでしたか。
今度は良い買い物になるかな。
リアルなテセウスの舟。