ロシア関連

ロシアがスーダン内戦に関与か、露ワグネルがRSFに地対空ミサイルを供給?

米国のCNNは21日「露ワグネルがスーダン軍と戦う準軍事組織(RSF)にリビア経由で地対空ミサイルを供給している」と報じており、ロシアのIl-76が4月13日からシリアとリビアの間を何度も往復しているのが衛星写真で確認されたらしい。

参考:Exclusive: Evidence emerges of Russia’s Wagner arming militia leader battling Sudan’s army

正規軍とRSFの武力衝突に「ロシアが深く関与している」という疑惑は事実かもしれない

スーダン暫定政権の主導権を巡る「ブルハン議長が率いる正規軍」と「ダガロ副議長が率いる準軍事組織(RSF)」が武力衝突は現在も続いており、世界保健機関は21日「7日間の戦闘で3,964人(20日発表と比較して434人増)が死傷した」と発表、さらに興味深いのはCNNが「ロシアのワグネルがRSFに地対空ミサイルを供給してスーダン軍との戦いを支援している」と報じている点だ。

出典:GoogleMap スーダンの状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は19日「RSFを支持するハリファ・ハフタル司令官(リビア反政府組織の軍事部門を率いる最高責任者)は軍事物資を支援している」と報じていたが、CNNの取材に応じたアフリカ地域の外交筋も「ロシアのワグネルがRSFに地対空ミサイルを供給してスーダン軍との戦いを支援している」と証言、さらに衛星画像の分析でも4月13日から「シリアのフメイミム空軍基地」と「リビア反政府組織が支配する空軍基地」のあいだをIl-76が何度も往復しているのが確認されたらしい。

最終的にマーテン・アルサッラ空軍基地からスーダン北西部のRSF軍事キャンプに地対空ミサイルが空輸され、航空戦力を持たないRSFがスーダン空軍の活動を抑制するのに役立っている可能性(20日にスーダン軍のヘリを2機撃墜したと主張)がある。

出典:Vitaly V. Kuzmin/CC BY-SA 4.0

ロシアがワグネル経由で何を供給したのかは不明(携帯式防空ミサイル?)だが、正規軍とRSFの武力衝突に「ロシアが深く関与している」という疑惑は事実かもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典: Artem Katranzhi/CC BY-SA 2.0

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コメント

    • ななし
    • 2023年 4月 21日

    そんな余裕あるのか..?

    27
      • hiroさん
      • 2023年 4月 22日

      ロシアが、と言うよりプリゴジンが、と言った方が良いのかも知れませんね。
      スーダンのRSFがりみの金利権がワグネルの重要な資金源であることは間違い無い様ですし、ワグネル崩壊を招きかねないウクライナから手を引くという観測も信頼性は疑問ながら出てきていますしね。
      地対空ミサイルのレベルは不明ですが、S-300やS-400を供給するとも思えないので、ワグネル保有の携帯装備を提供する可能性は高いのでは。

      24
      • 7743
      • 2023年 4月 22日

      ワグナーはスーダンでRSFから金の採掘権を取得していて、数億~数10億ドル分の金を密輸しており、度々西側諸国に差し押さえられていますね。

      26
      • TKT
      • 2023年 4月 22日

      まあこれはそんな政治的に難しい話ではなく、日本の中古車業者がトヨタの中古車と、ロシア人が食べないカニを物々交換するのと同じでしょう。

      RFSのダガロは、ただ金塊だけ持っていても仕方ないし、それよりも武器がないとブルハン中将のMiG-29にやられてしまいます。

      日本人がトヨタの中古車とカニを物々交換するように、RFSのダガロは金塊を肩撃ち式地対空誘導弾を物々交換しているのでしょう。テクニカルに使うトヨタのランドクルーザーも買っているかもしれません。

      1
        • ジョチウルス
        • 2023年 4月 22日

        原始人かな???なに?そのカニを交換した日本人は自分で食べるんか?
        純軍事的な話題で頭ロシアなコメントはまだ、こういうやべーやつもいるってのはまだ価値ある?かもですけど、
        経済的観念が原始人の人は、こういった話題にはコメントしない方が良いと思いますよ。あなたのコメント読む価値ないので。

        16
          • HY
          • 2023年 4月 23日

           実際に外国為替による代金決済を介さず、二国間で物品の種類と数量を等価になるように取り決めて輸出入するバーター貿易というものが存在します。信用のある外貨が不足した途上国や冷戦下の旧共産圏で行われていました。
           ただし日本とロシアでバーター貿易が行われた事実はありません。TKT氏の妄想です。

          8
        • ため息
        • 2023年 4月 22日

        さすがにこのコメントはひどすぎませんか、、、
        根拠も何もないです、、、妄想全開じゃないですか

        9
        • HY
        • 2023年 4月 23日

         現在、日露間でバーター貿易が行われている事実はありません。

        6
      • フメニリツキー
      • 2023年 4月 22日

      ワグネル、プリゴジンからすれば、所詮は営利企業なわけですから。
      彼らは彼ら自身の利潤を追求するだけでしょう。

      もともとワグネルはマリ、ブルキナファソ、中央アフリカといったアフリカの紛争市場をビジネスの中心に置いていましたから。
      ウクライナに固執してプーチン政権に捨て駒扱いされるより、よほどよい。

      7
      • HY
      • 2023年 4月 23日

       余裕がないからこそなのかもしれませんね。貧すれば鈍するというか。スーダンでボヤを起こして西側の注意を逸らす思惑があるのかもしれません。

    • パセリ
    • 2023年 4月 21日

    ワグナー主力は未だアフリカで健在てのは本当かもしれないな
    この戦いは正直どっちが勝とうがどうでもいいけど、邦人に被害が出ない程度にロシアの足を引っ張ってくれればいいな

    30
    • れんちゃ
    • 2023年 4月 22日

    スーダンでは随分とロシアが幅を利かせてるとみられていたが、何かをしくじって実力行使に出ざるを得なくなったという様な見方も出ているね。

    13
      • shkk
      • 2023年 4月 22日

      国軍とも仲良かったら紛争を煽る必要もないだろうし、RSFに勝ってもらわないとアカン状態なんだろうか

      5
      • フメリニツキー
      • 2023年 4月 22日

      メディアの情報の又聞きなんですが、武力衝突の直前には、RSF相手に御用商人をやってた例の鉱山会社のロシア人社長がスーダンの警察当局に密輸容疑で逮捕されていたそうで。
      これがおそらく今回、引き金のひとつだったんでしょうね。
      RSFを統廃合しようとする政府・正規軍がRSFの資金の流れ、ロシアルートを断ち切ろうと試みた。その反動がこの騒動だと。

      5
    • ななし
    • 2023年 4月 22日

    紛争の陰にロシアあり

    22
    • 七面鳥
    • 2023年 4月 22日

    初手で空港を占拠するのは、ロシア軍がキエフでやりたかった作戦ぽいなと思ってたら、ホントにそんな感じだったのかな・・・
    もしRSFが負けた場合のロシアのメリットは何だろう?金利権を失いかねないのに。それとも勝ちにいく気で武器支援を続けるのかな。
    自衛隊の救助機にミサイルが当たりませんように。

    12
    • 名無志野
    • 2023年 4月 22日

    あまりにもタイミングが近すぎてエジプトがロシアへの供給を蹴ってウクライナへの弾薬供給を決めたので、弾薬供給の妨害と嫌がらせをするためにRSFをけしかけて国境を接するスーダンを不安定化させた…なんて想像を逞しくしてしまいます

    10
    • 傍観者
    • 2023年 4月 22日

    プリコジンは現在PMCはスーダンと関わり合いはなく、政府、反政府派とも長い間話をしていないと言っている。私的にはCNNよりはプリコジンの方が遥かに正直で正確だと思っている。答えられないことは答えられないとはっきり言うし答えたことに嘘があった記憶もない。バクムト完全包囲も繰り返し否定している。
    それに比べてCNNは嘘まみれだ。BBCよりはましだが(笑)

    3
      • 主観者
      • 2023年 4月 22日

      ※このコテハンは傍観者ではなく完全にレッドチームです…

      17
    • たまねぎ
    • 2023年 4月 23日

    ワグネルにしてみれば二束三文で囚人集めて前線に投入する事業は”薄利多売”であまり儲からないビジネスなのかもしれませんね。
    一方のスーダンは金利権というコアビジネスで、絶対に手放せない利益の源泉なのでしょう。

    2
    • 傍観者
    • 2023年 4月 23日

    露はスーダン政府と海軍基地を設置することを合意している。反乱派のRSFにミサイルを供給するわけはないというのが常識的な考え方だ。西側の報道は常識を無視した情報を断り書きなく垂れ流す。米国大使館の退避をRSFが護衛したとの報道も出ている。RSFの背後に米国の工作があるという推測が出ている。スーダン内の権力抗争を利用して米が露のアフリカ進出を妨害しようしたというのが真相だろう。

    3
    • ふむ
    • 2023年 4月 24日

    ここの過去記事にもあるが、そもそもロシアとスーダンの関係は深かった
    で、それが=紛争の黒幕、となるかと言えば怪しい
    紅海に面した場所に、原潜も寄港できるロシア軍基地を建設予定だった
    この状態だとスーダンの安定こそがロシアの利益に適う

    これを嫌った米英系勢力が混乱を引き起こして白紙に戻そうとした、という線が怪しく思う

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