アゼルバイジャン軍は複数方向からアルツァフ共和国に侵入し始めたが、アルメニアは同問題に介入する気はなく「主権が及ぶ範囲の防衛に徹するべきで、ナゴルノ・カラバフの問題は国際社会、特にロシアが適切な措置を講じるべきだ」と述べている。
参考:Armenia continues to defend only its sovereign territory – Armen Grigoryan
アルメニアはアルツァフ共和国を軍事的に支援する気はなく、国際社会やロシアが何とかすべきだと考えている
アゼルバイジャン軍はアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ地域)に対して地上部隊を投入、最も大きな前進を見せているのは北西方向から「サルサン貯水湖」に向かう部隊で、既に幾つか集落を占領してゴズルコルプに迫っており、北東方向から前進を開始した部隊はアグダラの南にある銅鉱山を占領、南西方向から前進を開始した部隊はサリババに迫っているが、南東方向から前進を開始した部隊だけはアルツァフ共和国軍に撃退されたらしい。
どれだけアルツァフ共和国がアゼルバイジャン軍を食い止められるのかは謎だが、アルメニア領から物理的に切り離されたアルツァフ共和国は孤立無援なので、同国のルーベン・ヴァルダニャン元国務相は「アルメニア指導部はアルツァフ共和国を認めてアルメニア人を保護する戦いに参加すべきだ」と訴えているものの、既にパシニャン首相は「ナゴルノ・カラバフ地域はアゼルバイジャン領の一部」と認めている。
アルメニア安全保障理事会のグリゴリアン書記も「我々は主権が及ぶ範囲の防衛に徹するべきで、これが共和国の最優先事項だ。ナゴルノ・カラバフの問題は国際社会、特にロシアが適切な措置を講じるべきだ。彼らは停戦協定の枠組みの中でナゴルノ・カラバフに住むアルメニア人の保護に義務を負っている」と主張、現在のアルメニア軍はアゼルバイジャン軍に太刀打ちできず、アゼルバイジャン領の一部と認めたナゴルノ・カラバフ地域に直接介入を行えば「主権を犯した」と非難されるため、アルメニアは状況を静観するしかないのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:ՀՀ նախագահի աշխատակազմ
西側諸国の考えとしてはこの侵攻は正義の侵攻になるのかな?
その場合はアゼルバイジャンを西側諸国は支持するのかな?
そんな事は無いですね
アメリカは即時停戦を要求しています
形ばかりの非難はするけど、そこまでなんじゃない?「武力行使はいけない」と一応いっておいて、事実上の黙認。
今、欧米はウクライナ戦争が大きすぎて、こっちに目を向けてられないんじゃないかな。
ウクライナに当てはめると今回の戦争はウクライナ(アゼルバイジャン)がクリミア(アルツェフ)を奪還するために開戦した形になりますからね……
元々国際的にはアゼルバイジャン領なのを不法占拠されてる形なので形式的には大義名分はあるんですよ
反対自体はしてるんですが、EUはロシアのガスの代わりにアゼルバイジャンのガスに切り替え大きく頼っている現状があります
そのため経済制裁などに踏み切ることも難しいと思われます
アゼルバイジャンが今回の侵攻に冬前のこのタイミングで踏み切ったのはそういえ理由もあるんでしょうね
まぁそのアゼルバイジャンは自国で消費するガスをロシアから買ってるんでガスロンダリングみたいな事になってるんですけど…
この状況は米国のLNGガス増産が進行するまで続くと思われます
規模感としては飛騨市、高山市、下呂市を領土とする飛騨高山共和国が独立を宣言して軍事的に抵抗している感じかな。よく今までもったなあ。
高山市だけでも東京都をしのいでるんだ……面積だけは
さらに雑魚といえど飛騨市と下呂市を加えれば規模は……規模は……
この感じだと日米はともかく台湾有事が起こっても国際社会は無反応だろう。
ヨーロッパはウクライナにすら武器と情報送るくらいしかしてませんからね。極東に戦力送る道理も能力もないでしょう。
これは仰る通りと思います、その程度なのが現実ですね。
個々人レベルでも、遠い地の他人に(人種も宗教も違う)、自分の生活を犠牲にして支援する人は稀でしょう。
ウクライナ侵攻が直撃してるけどアルツァフがロシアを支持したせいで、支援自体が難しくなってしまった。
彼らからしてみればそうせざるを得なかったとは言え、ロシアが短期で勝利して傀儡政権建てる位に考えてもいたんだろう。
その認識は古いかと、ドイツも前は親中的でしたけど今はこうでバルト三国やチェコはもっと前から台湾問題に関心持ってますよ。
習近平氏は「独裁者」 ドイツ外相の発言に中国が反発 リンク
「国際社会」って言葉は「世間」と同じくらい実体のないものですけどね
>ロシアが適切な措置を講じるべきだ。彼らは停戦協定の枠組みの中でナゴルノ・カラバフに住むアルメニア人の保護に義務を負っている
何もできずにいるとロシア軍の機能不全が表面化しますね
一見対岸の火事だけど、ウクライナや支援国の視点では戦争相手の権威失墜は美味しい展開と言えなくもない
アゼル領内にある点線は何かと思ったら
ナゴルノカラバフの最大版図なんですね
*同国のルーベン・ヴァルダニャン元国務相は「アルメニア指導部はアルツァフ共和国を認めてアルメニア人を保護する戦いに参加すべきだ」と訴えているものの
現場は、
「責任のない元国務相が、好き勝手外から文句言いやがって。鬱陶しい。」
と思ってそう。
日頃顔も見せないのに、有事の時だけしゃしゃりでてくる親戚のようだ(なおかつ、口はだすのに金は出さない)。
介入を叫んでるアルメニア人は単に無知なのか無謀なのか、アゼルの差し金なのか。
少し前の記事でも書きましたが、国内外の大半のアルメニア人が現実を直視しないままなのがこの現状なのです
>アルメニア国民:ソ連崩壊以降はアゼルバイジャンに対して欲望のまま好き放題を要求
>アルメニア政府:現政権以前はポピュリズム政策で体外的に好き放題して、国家信用がマイナスに
>
>これが30年分積み重なってるの訳で、しかもアルメニア国民は未だに自覚も反省もなく自分たちだけは大丈夫と信じてる
旧与党のアルメニア共和党はナゴルノ・カラバフ問題の融和路線指導者を何人か出してはいたのですが、民意がどうにもなりませんでしたね。テル=ペトロシャン大統領など、戦勝時の指導者であるにもかかわらず(おそらくは現実的な国力差と将来を考慮して)融和路線に向かう先見性がありましたが……
アゼルバイジャンがどこまでやるか次第でアゼルバイジャンもナチスロシアと同等扱いされそう
ロシア以外の国がロシアと同じことしても国際的に非難されなくなったら帝国主義復活になる
トルコ、イラン、イスラエル以外は今のロシア含めてどの国もどっちにも肩入れしたくない戦争だと思うけど
特に台湾にとっては武力で領土を完全に取り戻されたら非常に困るよね
相変わらず見やすく美しいマップをありがとうございます。
そこで管理人様に一つ提案したいのですが、作成されたマップの片隅にでもサイト名などを明記されてはいかがでしょうか。
というのも、別サイトでここのウクライナの戦況マップを無断利用しているのを見つけたからです。
日頃からオープンソースにお世話になっているので、管理人が作成した戦況マップに関しては自由に転載してもらって結構です。
その為、見難くなる透かしなどは敢えて入れていません。
戦況マップだけでなく、見出し・写真・本文の内容まで、ほぼ同じ記事が掲載されているサイトもありますよ。
Kamil Galeevという方がアルツァフ共和国の問題について語っていてなるほどなと思ったので要約します
・アルメニアはソ連崩壊後にアゼルバイジャン系住民を追放し、民族の領土を大幅に広げる事に成功した
・アルメが隣国に与えた打撃は屈辱的であり痛快だったが、アゼル本国にとって致命的ではない
・90年代の勝利の後に一部領土を譲歩して永続的な国境線合意をする余地はあったが、アルメ世論はそれを許さなかった
・アルメは現在、人口も経済力も軍事力もはるかに大きい隣国から激しく恨まれ、既に戦争になっている
・90年代の勝利がアルメ国民に勝利が恒久的なものであると過信させたため、政治的な解決が出来なくなっている
このあたりはフランス第二帝政の最後にも通じるところがあるでしょう。その時のフランス人はプロイセン軍にパリを包囲砲撃されて始めて現実を直視する事になりますが、今年のナゴルノ・カラバフ戦争でアゼルバイジャン軍にそこまでやらせてはダメなんでしょうね。アゼルバイジャン軍がアルツァフ共和国を超えてアルメニア本国に達した時、国際社会がちゃんと抑制に動けるのかがきになるところです。
アルメニアが支援に消極的・対空火器の監視があるわけですから、空路の補給も絶望的ですね。
人口10万人~20万人しかいなのでは、抵抗継続も厳しいでしょう。
アルメニアにとって、屈辱的な撤退ではなく、平和条約で名誉ある撤退を選んだ方が、対アゼル・トルコを考えれば得策と思うんですけどね。
アゼルバイジャンが戦勝に盛り上がれば(アルメニアの負け方が悪すぎると)、当たり前ですが、当初の停戦条約より悪い条件を、改めて突きつけられて飲まされることになります。
パシニャン首相・アルメニア政府、負け方によっては持たないでしょうね。
もはやロシアを調停に入れるのはデメリットの方が大きい
トルコ&アゼルバイジャン
アルメリア&米国かNATOの4者で
アルメリア系住民の権利保護について話し合うべきでしょう
侵略とか言ってる人が居るが、
例えれば日本国内で県が独立宣言して、そこに外国から支援受けた外国装備の軍隊がいる状況
これに対して自衛隊が治安出動で反乱組織の制圧を行ってるだけ
こんな反乱組織が大統領選挙するのを認めたら、他国からの侵略工作を容認するのと変わらん
自国内の叛徒に対する武力行使なので国際法上の武力不行使原則には抵触しないと言う考え方はありますね
まあアルメニアが譲歩の姿勢を示しているんだから話合いで解決すべきだとは思いますが・・・
停戦から3年近くが経過し、民意を問う戦後の総選挙に勝利し、アゼルバイジャンとの合意を公言し、不満を表明した軍部のトップをクーデター扱いで解任する程度の権力を保持した状態で、既に合意済みの内容を履行していないのが現状です。
過去を振り返ってみても、同国の話し合いとやらは数十年では解決も履行もされない傾向にあるため、かなり理想論に近くなってしまうかと。
アルメニアが作った「アルツァフ共和国」がは話し合いに一切応じず、
譲歩する気もなく
停戦条件も守らず
さらに大統領選挙強行
解決方法は最低限の武力行使で現実を思い知らせる以外は無いのでは?
推移によってはほぼ間違いなく起こるであろうジェノサイドがアルメニア国内に伝わったときに政府は不介入を維持できるのかどうか
「推移によってはほぼ間違いなく起こる」ってどういうことでしょうか。「推移によっては起こり得る」ではないですか?
アルツァフ共和国が降伏したとか
どう考えても絶望的な戦況だったし、理性的な行動が出来たのは喜ばしい所
ただこの武力による変更は間違いなく火種が残り続けるだろうな•••