欧州関連

フランスとアルメニアが軍事装備の供給で合意、EU軍事援助基金を活用か

フランスのコロンナ外相は3日「軍事装備の供給に関する将来の契約についてアルメニアと合意した」と発表、さらにウクライナへの軍事支援にも活用されているEU軍事援助基金=欧州平和ファシリティへの「アルメニア追加」も要請した。

参考:Ֆրանսիան համաձայն է Հայաստանին ռազմատեխնիկա տրամադրելու պայմանագիր կնքել. Կատրին Կոլոննա
参考:France agrees on future contracts with Armenia to deliver military aid

フランスはEUの資金を活用してアルメニアに軍事装備を供給したい

フランスのコロンナ外相は3日「軍事装備の供給に関する契約についてアルメニアと合意した。これによってフランスはアルメニアが自国領を防衛するための装備を将来提供できるようになるが、その詳細はまだ明かせない。EUの軍事援助基金=欧州平和ファシリティ(EPF)にアルメニアを加えるようEU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏に要請した」と述べて注目を集めている。

EPFはウクライナへの軍事支援にも活用されている資金で、フランスは「EUの資金でアルメニアに軍事装備を供給したい」と考えているのかもしれないが、ロイターは「フランスの人口にはアルメニア系住民が40万人~60万人ほど含まれており、選挙中にアルメニア系住民の団体は強力なロビー団体として機能する」と指摘しているのが興味深い。

因みにマクロン大統領は「ナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア系住民を保護するため十分な措置を講じていない」と国内の政界から非難されている。

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※アイキャッチ画像の出典:ՀՀ արտաքին գործերի նախարարություն

侵攻587日目、戦場に目立った動きはなくウクライナ支援は変化の兆し前のページ

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コメント

    • n
    • 2023年 10月 04日

    NATOと違ってトルコが加盟してないからEUで支援は可能か
    アゼルバイジャンからの天然ガスも供給もフランスは原子力比率高いから問題ないと
    フランスの資金ではなくEUの資金の負担であれば黄色いベストは問題ない?フランス人(民族)よりアルメニア系住民のロビーを重視することに激昂するだろうか

    アゼルバイジャンの天然ガスに頼ってる他の欧州諸国やフランス人(民族)がどう反応するか気になりますね

    17
      • 2023年 10月 04日

      黒人やアラブ人はフランス人ではないと言いたいのか?

      12
    • ひろゆき
    • 2023年 10月 04日

    あ〜あ、アルメニアがまた政治的なミスをやらかしている
    フランスに接近して武器を調達するとかそれはないっしょ
    宗主国であるロシアはよく思わないし、最悪ウクライナコースをキメる可能性がある
    当然イランは西側との接近は許容しないし、ジョージアはロシアに飲み込まれないようにするためトルコの顔色を伺うからアゼルバイジャンとの有事の際はトルコの圧力によって兵站を妨害するだろう
    西側の一部であるトルコとは仲が悪くて、東側の国に囲まれているんだから武器の調達は中国・インドとかの西側以外の国から調達しないとダメでしょ
    ロシアは中国の面子を潰せないんだからこの場合中国から武器を購入すれば周りの強国ロシア・イランは表立って反対出来ないし彼らの面子も守れるのに…

    26
    • 名無し
    • 2023年 10月 04日

    新たな火種を供給してどうすんのよと

    28
      • 戦略眼
      • 2023年 10月 04日

      日産といい、毎度ろくな事をしないな。

      8
      • 名前
      • 2023年 10月 04日

      新たな火種を供給しているわけではないでしょう。
      既に火はついていて、アルメニアを誰も助けず抑止力が十分でないなら大火事になるかもしれない状況だと思いますよ。

      11
        • n
        • 2023年 10月 04日

        アルメニアは東側版NATOのCSTO加盟国なのでアルメニアが侵略されたらロシアなどが助けますよ
        ロシア アルメニア ベラルーシ カザフスタン キルギス タジキスタンが加盟国で軍事援助の義務があります
        ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土をアルメニア人が不法占拠してただけだから対象外

        武力で奪還したアゼルバイジャンがロシアの同類扱いされてることがありますが
        過去のアルメニアが今のロシアと同じことをやったのでロシアの同類は過去のアルメニアなんですよ
        隣国を不法占拠して一方的に独立を宣言した
        アゼルバイジャンがやったのはドネツクルガンスクの奪還のような行為
        日本人としてアゼルバイジャンの気持ちを理解するなら竹島や北方領土の奪還でもいいかもしれませんね
        北方領土が戻ってきても住んでるロシア人どうするのっていう人がいますが、ナゴルノ・カラバフの場合はほとんどの人が帰りましたね

        他にもアルメニアはロシア イランのような西側の敵が支援
        アゼルバイジャンはトルコ イスラエルのような西側の味方が支援ってのもあるので
        西側としてはトルコやイスラエルと争いたくないです

        17
          • 名前
          • 2023年 10月 04日

          アゼルバイジャンが実際にアルメニアをさらに攻撃するかは別として、CSTOとは聞こえが良いものの、ロシアしか実際にまとまった兵力が期待できないのが実態で現状ウクライナ侵攻に手一杯のロシアに全賭けできる状況とは思えません。
          ロシアが防衛義務を十分に履行できるかかなり怪しく、実際に、アルメニア本国側の国境地帯がアゼルバイジャンにより一部占領されていますが、ロシアは動いていません。そこが国境未確定地域だったとしても、国境紛争の抑止力になっていないのです。
          ですので、ある程度のアルメニア自身による自衛が必要なのですが、ロシアの武器の供給も相当怪しい状況です。戦力の不均衡が紛争の大きな原因ですので、フランスでも武器を供給できるなら、戦力均衡の一助にはなるでしょう。

          3
            • 古銭
            • 2023年 10月 04日

            アルメニア本土が一部占領された時はロシアの仲介で早期に返還合意が成されたので何もしていない訳ではありません。
            個人的には駐留軍を国境に移動させるぐらいはしないとCSTOとしては片手落ちだったと思いますが。

            1
      • あばばばば
      • 2023年 10月 04日

      軍事の世界はチンピラかヤクザの世界観を拡張した場所にあるわけで、要は力を持ってるやつが偉いのと、なめられたら終わりな世界なわけで、アルメニアは親元のロシアがあんなざまになっちゃったから、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ地域への侵攻許しちゃったわけでして。
      そうなるとアルメニアは親を変えてもらい支援して、アゼルバイジャンに殴られない、殴られたら親元が飛んでくるようにした方が平和へ近づくわけでして。

      親がアルメニアを支援しすぎて、アゼルバイジャンを攻撃しだすとアゼルバイジャンの親が飛んできてえらいこっちゃになるので匙加減が難しいのは間違いない。

      5
        • リック
        • 2023年 10月 04日

        >アルメニアは親元のロシアがあんなざまになっちゃったから、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ地域への侵攻許しちゃったわけでして。

        これは事実誤認ですね
        2020年、つまりウクライナ侵攻以前に発生した第二次ナゴルノ=カラバフ戦争において
        ロシアは「軍事衝突はアルメニア領土では発生していないため、CSTOの保障対象からは外れている」という立場から中立を維持し、調停役に達しています。
        これはロシアにアルツァフ共和国を承認させ、CSTOの保障対象と認めさせることができなかった歴代のアルメニア政権の外交敗北の結実と言えます。
        この時点ですでにアルツァフ共和国の命運は決まっていたのです。
        例えウクライナ侵攻がなかったとしてもロシアは今回の紛争に中立を決め込んでいたでしょう。

        23
      • ポンポコ
      • 2023年 10月 04日

      ロシアはアルメニアへの影響力を失い。その分をEUやアメリカが影響力を伸ばした。ロシアはマイナス、西側はプラスでしょう。

      というあたりでしょうか。

      まあ、現地のロシアの平和維持軍は動かなかったが、いたおかげでこういうことに付き物の虐殺とかはなかったし、他国を含む大きな戦争にもならなかったから、結果的にはこれで良かったかも。

      火種はまだ残るかもね。アルメニア系住民がいなくなったけど、長い歴史的な経緯があるし、家や故郷を追われた恨みとかは残りますからね。

      3
    • ブルーピーコック
    • 2023年 10月 04日

    《「フランスの人口にはアルメニア系住民が40万人~60万人ほど含まれており、選挙中にアルメニア系住民の団体は強力なロビー団体として機能する」》

    《因みにマクロン大統領は「ナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア系住民を保護するため十分な措置を講じていない」と国内の政界から非難されている》

    このとりあえず批判しとけ感。トルコとちょくちょく喧嘩する理由の一つかコレは。 

    26
    • 58式素人
    • 2023年 10月 04日

    好意的に見て。
    パシニャン首相は、自分が責任?の取れる期間内に方針を敷くつもりかな。
    アルメニア軍の装備を西側式に変えるのは手間でしょうね。
    今は、アルメニアの相手をするのはフランスくらいのものなのでしょうか。
    本命(米国)への取っ掛かりとして、適当?なのかな。

    10
    • k.ziro
    • 2023年 10月 04日

    もちろん、アルメニアの周辺国にも買っていただきます。

    • たむごん
    • 2023年 10月 04日

    欧州平和ファシリティは、ウクライナ支援の予算としても使われていますね。
    ウクライナ専用枠が設けれたため、残りの枠にアルメニアの名前を取りあえず入れたと解釈しています。

    マクロン(フランス)は、中国訪問・習近平との会談(台湾情勢で中立)もそうですが、本当に食えない政治家です(政治家はそんなものでしょうが)。

    アゼルバイジャンの立場は、アルメニアが国防力・外交力を取り戻す前に、南部回廊を解決するインセンティブが生まれていますね。

    1
    • 無無
    • 2023年 10月 04日

    アフリカで続く失点をここで埋めるか
    うごめくワグネルロシアへの嫌がらせを兼ねて

    4
    • 伊怜
    • 2023年 10月 04日

    出たな死の商人。
    やっぱりアゼルにも売るのかな?

    6
    •  
    • 2023年 10月 04日

    第一次紛争の時は米仏も和平に絡んでたもんね
    その後役に立たないってことですっかり存在感を失ってたけど
    再進出ってわけだ

    3
    • ホテルラウンジ
    • 2023年 10月 04日

    このフランスの動きは先日発生したガボンのクーデターと関連してるものでしょうかね?
    フランスの旧植民地のガボンがクーデター発生して、ロシア国旗を掲げてクーデターを国民が歓迎していました。
    ガボンをフランス陣営からロシアに取られた形になりますから、それを奪還するにはロシアとの交換カードが必要になるわけです。
    それでアルメニアをフランス漬けにしてロシアがガボンから手を引かせる為に取引材料作りにしてるんでしょうかね

                        知らんけど

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