米海軍のOrcaに続き英海軍も「攻撃型原潜と連携可能な超大型水中無人機(XLUUV)を2年以内に建造する」と発表、このXLUUV開発計画はギリシャ神話に登場する海の怪物から名前をとってProject Cetusと呼ばれている。
参考:£15.4 million contract for first cutting-edge Navy crewless submarine
開発上の位置付けはMantaのような実験艦ではなくXLUUV実用化を想定したプロトタイプだ
各国が実用化を目指して開発を進めてるXLUUVには米海軍のOrca、英海軍のManta、仏海軍のOUDD、豪海軍のXLUUV、韓国海軍のASWUUVなどがあり、米海軍のOrca(オルカ)は単独運用やバージニア原潜との連携を想定しており、全長を最大26mまで伸ばすことで追加コンポーネントを最大8トン収容することができ、リチウムイオン電池駆動で6,500マイル(約10,400km/ディーゼル発電による再充電込み)を移動することができる。
既にOrcaの1番艦(発注は計5隻)は米海軍に引き渡されテストを開始、情報収集・監視・偵察任務、対機雷戦、対潜水艦戦、電子戦、対艦攻撃、対地攻撃といった能力を統合させたいと明かしているが、本計画に関する情報は制限されているためOrcaの詳しい仕様などは不明だ。
米海軍と同じように英海軍もXLUUVのプロトタイプとして開発した「Manta(全長8.9m)」のテストを繰り返しており、最終的な実用タイプのManta(最大速度12ノット/最大潜航深度350m/最大航続距離約5,550km)は全長が30mに達すると予想されていたが、英国防省は1日「攻撃型原潜と連携可能な超大型水中無人機(XLUUV)を2年以内に建造するためMSubs社に1,540万ポンドの契約を授与した」と発表して注目を集めている。
このXLUUV開発計画はギリシャ神話に登場する海の怪物から名前をとってProject Cetusと呼ばれている。
契約が授与されたMSubs社はMantaを開発した企業なのでProject Cetusは実用タイプのMantaに相当する可能性が高く、基本的な全長は12m(直径2.2m/重量17トン/リチウムイオン電池駆動で1,000マイル)に過ぎないもののOrcaと同じように追加コンポーネントを継ぎ足すことができるため航続距離は延長可能で、開発上の位置付けはMantaのような実験艦ではなくXLUUV実用化を想定したプロトタイプだ。
フランス海軍もXLUUVの実用化を想定したプロトタイプ「Oceanic Underwater drone demonstrator/OUDD」のテストを行っており、豪海軍は「3年以内にXLUUVのプロトタイプを完成させる」という野心的な計画を無人化技術に定評のある米Andurilと協議中、ロシア海軍(Klavesin-2M-PM)と中国海軍(HSU-001)は既にXLUUVに相当する水中無人機の運用を開始している可能性が高い。
韓国のハンファシステムも2019年のMADEXでXLUUV「ASWUUV(全長10m)」を披露、潜水艦分野の専門家サットン氏は「燃料電池方式のAIP機関で作動するため作動範囲と耐久性に優れ、敵潜水艦を検出を行うための各種センサーを搭載している」と紹介しており、ハンファシステムは「2022年までにASWUUVの開発を終える」と述べているが、国防科学研究所が今年6月に対潜水艦戦用の水中無人機(全長7m/重量3.8トン)を公開して「まもなく開発作業が完了する」と明かしたものとASWUUVに関連があるのかは不明だ。
日本がもがみ型護衛艦に配備予定のOZZ-5は対機雷戦向けに特化したUUVで、米海軍など西側諸国の海軍(8ヶ国+アルジェリア)が対機雷戦として採用しているRazorbackやREMUS600に相当するため数ヶ月の長期任務に耐えられるXLUUVではなく、艦艇装備研究所は開発した全長約10m×直径1.8mの円筒状UUVの中央部分を延長(15m以上)して航行可能な期間は7日間に拡張することを研究中らしいが、情報が殆どないので日本のXLUUV開発の実情は良くわからない。
恐らく欧米はXLUUVでMUUVや水中発射型UAVを前線に運搬することを想定している可能性が非常に高く、水上艦や潜水艦だけでなくUSVやUAVと言った無人戦力とのチーミングも実用化してくるのは目に見えており、UAV、USV、UUVで構成された無人戦力の存在感は今後大きくなるだろう。
因みに米海軍の第5艦隊は2023年までに100隻の小型USVを配備して海上認識力(レーダーによる認識力ではなく視覚的センサーによる認識力)を拡張したいと述べており、既に配備されているSaildroneやMantasといったUSVを増強して海上にばら撒くつもりで、豪海軍も自国企業が開発した365日稼働可能なBluebottleUSVのテストを開始した。
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※アイキャッチ画像の出典:UK Ministry of Defence Project Cetus
戦闘機開発の次はXLUUV開発で英国やイタリアと共同することになるのかな?
イタリアにも計画があるか知らないがニーズはありそう。
去年の防衛技術シンポジウムでも説明してたがモジュール型のUUVを試作して今年度から試験のスケジュールになってる
ちなみに記事で言ってる7日間は追加モジュールなしの本体の話
もう日本は一回無人機などは輸入に全振りすべきなんじゃないかな
防衛省だって何を開発すればいいか分かってないだろうし研究試作も遅すぎるし
1から学び直すには今が最後のチャンスだと思う
無人機の急速な発展を見るに、そのキモは制御技術さえ確立させてしまえば凡ゆるシーンに対応出来る可能性を秘めている事を示唆してる。
それは無人機制御技術の保有有無で一流と二流の差になると言っても過言ではない。
一流の軍事力を持つ某国が尖閣諸島の実効支配を奪おうとしてる時に二流に成り下がる必要性はない。
そうは思わないかな?
恐ろしい世界になりそうだ。
一握りの人間が、他の全ての人間を制圧する世界が出来上がるのだろうか。
物事には人間が関わらなければならない世界が続くのか?
殆どの人間が無用なゴミとされるのか?
米海軍は、かつて、潜水艦にリチウムイオン電池を
使うことに否定的だったと覚えているけれど。
安全性について、何らかの進歩があったと言うことかな。
世界を見渡しても、潜水艦にリチウムイオン電池を
載せる計画がちらほら見受けられるのだけれども、
それぞれの国で同じような進歩があったのかな。
それとも、自動車用のものを転用しているのかな。
案外、中古車を輸入して、バラしていたりして(悪口)。
無人だから安全リスクを下げて設計できるんじゃない?
リチウム電池が不具合を起こせば、無人ならば、
まず作戦は失敗ですね。熱暴走でしょうから。
作戦海域は敵地でしょうから、回収も無理では。
作戦の成功率を上げるためには、
有人の場合よりも不具合を起こさない様に
しないとですね。
記事のXLUUVは大型でしょうから、
喪失時には損害も大きいでしょう。
無人機だから損失無視してもいいとは俺も思わんけど、EVのリーフは10年で40万台ぐらい売ってるけど、いまだに自然発火による火災は0らしいです。安全に配慮すればその程度は10年前の技術でも可能なんですよね。(配慮しないと最近も火災多発したメーカーがありましたが…)
そして、そのEVの100倍の量を積むとしてもEVの故障率から無人機に積むなら問題ないレベルだと思われます。
(100倍ってのは総トン数500トンの60mの電動内航タンカー航続距離180kmでの話ですから潜水艦の電動駆動距離次第で前後しそうですが)
そもそも海軍が嫌う理由はLiBは火災時のコントロールが難しいため、ほぼありえないとはいえ有人船に使うのはリスクでしかないからだったんじゃないですかね?
EVの事例でも分かるように10年そこらなら火災リスク自体極めて低いですからUUVに使わない理由は今のところないと思いますし
なるほど、ですね。
もし、日本車の部品を使っているのなら、ぜひ、
取説(笑)の注意事項を厳守して欲しいですね(笑)。
安全のために。
そして、製造特許(で良いのかな?)を尊重して欲しいですね。
流石に、米英はまともに行っていると思いますが、
それ以外は。
UUVにディーゼルや原子力を搭載できないなら作戦行動中に充電が必要なケースもありえるわけで、そうなってくると母艦は原潜以外は圧倒的に不利になる可能性が高そう。原潜の数を揃えられないなら、韓国の様に特定の範囲内の海域警備が目的とはいえ無人の原子力充電母艦を作るのが有効かな。