ウクライナ戦況

ヘルソン州ヘニチェスクでSu-34が墜落、ウクライナ軍による撃墜の可能性も

ウクライナ軍は23日「クラスノダール地方上空でロシア軍のA-50を撃墜した」と発表したが、Radio Libertyは24日「ヘルソン州ヘニチェスクでSu-34が墜落した」と、クリミアの風も「Su-34がミサイルを発射後にレーダーから消えた」と報じている。

参考:СМИ: На Херсонщине упал российский самолет Су-34

ロシア軍にとって無視できない損失が17日以降に発生している可能性は高い

Radio Libertyは24日「ヘルソン州ヘニチェスクでSu-34が墜落した。これを目撃した住民が墜落現場の映像を公開している」と、クリミアの風(Крымский ветер)も「Su-34がウクライナの都市にミサイルを発射後にレーダーから消えたとウクライナ軍の情報筋が報告した。当該機は21時15分にアフトゥビンスク基地を離陸、21時50分にヘニチェスク上空2,000mに到達、22時05分に最初のミサイルを発射、22時15分に空域を離脱、22時20分にレーダー画面から消えた」と報じた。

これが事実なら「ロシア軍は17日以降の9日間で9機の航空機を失った」という意味になり、これをフレンドリーファィヤーとして片付けるのは流石に無理があるため、ウクライナ軍が防空システムを積極的に活用してロシア軍の航空作戦を抑え込もうとしているのだろう。

17日に報告されたSu-34×2機とSu-35×1機、19日に報告されたSu-34×1機とSu-35×1機の撃墜場所は遭難信号の発信(Cospas-Sarsat Programme)によって「ドネツク州アムウローシイウカ周辺」と「ドネツク州マリウポリ周辺」と特定されており、ロシア人も「17日にSu-35が撃墜された」と、19日撃墜されたSu-35が海に浮かんでいる視覚的証拠も登場している。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

23日に報告された「クラスノダール地方上空でA-50撃墜」も視覚的証拠が登場し、ロシア人も「A-50が墜落した」と認めており、そもそもロシア人ミルブロガー達らは「不利な情報は公開すべきではない」という方針なので、ロシア人が認めていない=ウクライナ軍のプロパガンダという図式は成り立たない(その逆も当然成り立たない)。

ウクライナ軍の発表が全て事実かどうかは不明だが、ロシア軍にとって無視できない損失が17日以降に発生している可能性は高い。

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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

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コメント

    • 名無し太郎
    • 2024年 2月 24日

    やったぜ!!やったぜ!!最高に嬉しい!!
    A-50がオペレーターと共に爆散。あまりにも嬉し過ぎて、冬なのに体温が重度くらい上がりそうだぜ。
    戦闘機の撃墜も続いているし、確実にロシア空軍の戦力を削っている。これはボディーブローのようにロシア軍の戦力にダメージを与えているはず。

    46
      • 名無し太郎
      • 2024年 2月 24日

      書き間違い。重度でなく十度だ。嬉し過ぎて体がポカポカと温まる。ニッコリ。
      このままドンドンとロシア軍の航空戦力を削っていって欲しい。ロシア空軍の壊滅こそ、世界平和の必須条件。

      20
      • ガーネット・シルク
      • 2024年 2月 24日

      たぶん、こういう(無駄に熱量の高い)人がyoutubeでゆっくり軍事とかゆっくりミリタリーとかそんなの使って変な動画上げてるんだろうな。

      アレ系マジで検索妨害なので私見入りまくりの戦果誇張しまくって戦争をエンターテインメント化してる動画全部消えてくれないかなと思ってる。

      73
        • 名無し太郎
        • 2024年 2月 24日

        嬉し過ぎてテンションが上がり過ぎたのは事実だが、エンターティメントだとは全く思っていない。中立派という親露派こそ、ウクライナ侵攻を他人事だと思い過ぎてはいないだろうか?
        親露派の心理が、全く理解できない。この戦いは今後の世界の有り様を変える世界観戦争で、仮にプーチンが勝てば世界情勢は確実に悪い方に変わる。
        アメリカや日本の企業にとっても、ヨーロッパの安定は重要なことだろうに。海の向こうの話だと看做すべきではない。

        そしてプーチンのウクライナ侵攻には、合理的なメリットが見い出せない。親露派はNATOの脅威を語るが、どのような脅威がNATOにあるというのだろうか?NATOには領土的な野心など全くないし、そもそも統一した意思すら持ち合わせていない。
        親露派が言うNATOの脅威とやらは、どれもこれもが、もっともらしいだけの空疎な言葉を並べたものとしか思えない。まるで宗教説話みたいだ。
        プーチンを擁護する人間は、ウクライナに侵攻しなければならない合理的な理由を教えて欲しい。この戦いは、仮にロシアが勝っても、ロシアにメリットなどない。今のところ得をしているのは、北朝鮮とイランだ。

        24
          • 朴秀
          • 2024年 2月 24日

          下品な感想を垂れ流したいだけなら
          ここではなくてもっと相応しい場所があると思いますが

          あとは願望と予測を混ぜない方がいいと思いますよ
          プーチンが悪いのとウクライナが勝てるかは別問題です

          36
          • 名無しの悪夢
          • 2024年 2月 24日

          私は人類の歴史において、国家が行う戦争は無能無職に対する福祉であり娯楽であり口減らしであったと考えてます。
          と言っても、近代においては核兵器の登場により口減らしの効果が必要以上に拡大する恐れがあるため、理性においてブレーキをかけてるのが現状だと思います。
          地球環境に与える再生不能な影響も大きくなってますしね。
          国家間の利益を考えた合理的な理由などはわりとどうでもいいです。
          世界中がこの戦争に入れ込み核兵器の使用に踏み切ることだけが恐ろしいんです。

          プーチン氏はこれだけ批難されていますが、国家の利益を念頭において核兵器の使用にはブレーキをかけてるように思います。
          しかしプーチン憎しを語られる方々はプーチンが核を使用しても、報復として核を撃たないというブレーキはかけれるのでしょうか?
          私が危惧するこの話題は、この戦争の初期から最も懸念すべきものでありながら、完全に無視されているように感じます。

          3
      •  
      • 2024年 2月 24日

      正直あまりにも露骨過ぎて釣りだと疑ってしまう
      こんなのにいいねを押す方も押す方だけど

      57
      • Whiskey Dick
      • 2024年 2月 24日

      早期警戒機の撃墜は先行き不安なウクライナ戦況で久しぶりの朗報でした。ウクライナは旧ソ連構成国だけあって地対空ミサイルの運用は一流です。
      しかしバイラクタルや西側戦車の効力が薄れたように、ロシア側も何らかの対策を打つ可能性が高い。例えば大型の無人機を多数飛ばしてクラウドの早期警戒網を構築するとか、AAMで長距離SAMの迎撃を行うとか。
      EU諸国のウクライナ支援は順調だが、最も多くの砲弾を供給しているアメリカでは支援の継続が難しくなっており、あの悪い冗談みたいなトランプが大統領になったら今までの苦労が全て無駄になる。

      20
    • エーミール
    • 2024年 2月 24日

    ロシア空軍はヘリ、戦闘機共にかなりの回数出撃しているようですし、ウクライナ側もドローンやら爆撃やらで散々インフラを破壊されたりして、前線から各都市に対空兵器やS200、AKを横に並べた対空トラックなど、わざわざ集め固めているほど対空に力を入れている印象でしたので、これぐらいの損害はあって当然というような感じですね。個人的にもう少しあるとは思っていましたが。

    気休め程度にはなるだろうゼレンスキーラインの構築も進み、守備にウクライナ側が入ればもう少し損害は増えるのかなと。ただウクライナ側の空軍力はかなり皆無に等しいので、対空兵器やらが枯渇したらかなり不味いでしょうね。ロシア側もドローンの生産が潤沢で兵士一人一人にぶつけてるぐらいですし、インフラ攻撃もどんどんドローンで激しいものになりそうです。

    14
    • タチコマァ
    • 2024年 2月 24日

    ウクライナ側のSAMが数ヶ月以内に枯渇するという話があったがあるいは情報戦の一種の可能性もありますね
    実際の所、ウクライナ側のSAM在庫がどれ程あるかは不明瞭ですが個人的にはフランケンSAM計画で在庫豊富なホークやスパローが運用可能になりつつある事、昨年に比べてインフラ攻撃が比較的低調な事から流石にそんなすぐには枯渇しないのではと考えていました
    ウクライナ側が都市防空用を前線配備に回しているという話もありましたし、弾数に不安があるのは事実としてもだからこそ真偽織り混ぜてロシア空軍を引き摺り出してプラットホームそのものを削る方針に転換したのだろうか

    23
    • 幽霊
    • 2024年 2月 24日

    ロシア空軍の航空機が相次いで撃墜されていますが、これが航空機による撃墜では無く地対空ミサイルによる撃墜ならウクライナが待望しているF16の導入が進んでも劇的に活躍する事は無さそうですね
    最終的には地対空ミサイルを大量に準備できた陣営が航空優勢を握ると言う事態になりそうです。

    17
      • ポンポコ
      • 2024年 2月 24日

      地対空ミサイルだと思う。
      急に200キロとか後方でも撃墜が続いている。

      ということは、アメリカかイギリスが、新しいアイテムを供与したのではないか。

      (モスクワ撃沈の時と同じく。そして、ウクライナが古いソ連のシステムを工夫したとか言って、実際はアメリカかイギリスの要員が操作していたりするかもしれない)

      13
      • コバートX
      • 2024年 2月 24日

      抑止力としては効果あるんじゃない?

      あまり近づくとF16が出てきて、撃ち落とされるぞ。AIM120って射程100km以上あるんでしょ?

      飛行機同士の空戦ってあんま起こらないと思う。お互いにビビって近づけなので、ロシアは後ろに飛行機を引っ込めざるを得ないようにするだけで、F16を導入する充分効果はあるかと。

      12
        • 幽霊
        • 2024年 2月 24日

        ロシアの航空機をビビらせるだけなら今回みたいに長射程の地対空ミサイルを前線に配備するのが一番良いと思いますけどね
        F16に搭載されるAIM-120の射程より地対空ミサイルの方が射程が長いので、F16が敵機をミサイルの射程に捉えようとしてもロシア側の地対空ミサイルの射程に入ってしまうので前線で運用するのは難しいでしょうし。

        9
    • ak
    • 2024年 2月 24日

    Su34とか35ってこんなに配備されてたのか...
    高価だからそんなに作られてないんだろうなと思ってた
    ロシアの軍需企業って意外と海を除けば生産は好調なのか?

    12
      • T.T
      • 2024年 2月 24日

      どちらも今は戦時生産に入ってて、Su-35は年産約50機、Su-34Mは10機弱ってとこみたいですね。
      まだ補充量の方が多いみたいです。

      14
        • ak
        • 2024年 2月 24日

        ロシアのSu-75のコスト、余りにも安すぎて嘘くさいなと思ってたけどSu-35を年50も作れるならありえなくはなさそうっすね…..

        6
    • 名無し
    • 2024年 2月 24日

    対空ミサイルの進化は凄まじいな
    かつてまるで当たらなかった対空砲からかなりの撃墜率を誇るようになるとは

    10
      • 名無し
      • 2024年 2月 24日

      でも当然逆もあり得る訳で、この様子だとウクライナに提供されるF‐16もあっさり撃墜されてしまうかもしれない

      20
    • 冬の嵐
    • 2024年 2月 24日

    今後は高価値目標を狙えるSAM、SSM、長距離ドローンといった武器支援に絞ったほうが良いと思える素晴らしい戦果ですね。
    アウディーイウカ撤退の主因である熾烈な滑空爆弾の嵐は今後減るでしょう。
    今更コスパの悪い砲弾増産なんて戦後の負債になるだけです。砲弾投射量の差は兵士の犠牲さえあればある程度カバー出来るので一刻も早く50万人の追加動員を掛けるよう欧米は圧力を掛けるべきですね。まだまだウクライナは戦えます。

    7
      • 名無し
      • 2024年 2月 24日

      前半で応援しているように見せかけて全然応援してなくて草

      29
      • バーナーキング
      • 2024年 2月 24日

      弾の方の値段も発数十万の砲弾に対してSAMは億単位なので…

      4
    • あばばばば
    • 2024年 2月 24日

    大きな戦果だ。だが戦線への影響は小さいものだろう。
    機体の方はモスポールされた機材を復帰させる事でまだ吸収できる損失。
    痛いのはよく訓練された将兵の喪失だが、ロシアは人材の枯渇はまだ遠いだろう。

    しかしウクライナには使い切ったら武器も人材も供給はない。

    2
      • 名無し太郎
      • 2024年 2月 24日

      戦闘機や早期警戒管制機のような航空戦力を、陸上兵器と同列に看做すことは出来ない。航空戦力とは、替えの利かない貴重な電子機器と人材で成り立つ重要な戦力だ。
      それに航空機だけではない。ウクライナ軍はロシア軍の対空兵器も、少しづつすり減らしていっている。
      これらの蓄積は大きな意義を持つ。ハッキリいって戦線に与える影響は、とてつもなく大きいはず。

      23
    •  
    • 2024年 2月 24日

    ・航空作戦自体の変化でロシア軍機が多少の損害を許容してでも前線に出てる
    ・ウクライナ軍が都市防空を捨ててSAMを以前よりさらに前進配備した
    ・攻撃されないのをいいことに米軍のAWACSが飛び回って情報流してる(そのうちキレられて撃墜される)

    どれだろうか

    14
    • 名無し
    • 2024年 2月 24日

    ここ最近の防空戦闘でA-50やSu-35等の高価値目標を損耗させている事は本邦にとっては大変ありがたいことです
    しかしながら冷戦期のS-200でも十分使えるとは地対空ミサイル強すぎますねコレは

    余り詳しくないので識者の方にお尋ねしたいのですが軍用機側から時期を目標にして接近してくる地対空ミサイルを迎撃できるミサイルってあるのでしょうか?

    対レーダーミサイルは地上にある地対空ミサイルを標的にするミサイルだから既に発射されたミサイルは迎撃できませんよね?

    13
      • NHG
      • 2024年 2月 24日

      原理的にできないことはないはずだけど空対空ミサイルは聞いたことないなぁ(ゲームだと機銃で撃ち落とすんだけど)
      でも本来なら地対空ミサイルのS-300で迎撃できないとおかしいとは思う。米でいうパトリオットやSM-6相当だから。

      2
    • 58式素人
    • 2024年 2月 24日

    以前から、この冬に提供予定とアナウンスのあった、
    フランケンSAMが揃ってきたのかな。
    今のところ、到着が報じられたのはRIM-7 シースパローだけなのだけど。
    ただ、以前から、AIM-9やAIM-7が提供されていたのは不思議でしたが。
    今回の射程は100km以上あるのでしょうから、PAC-2をS-300で撃つものかな。
    フランケンSAMは発注はかなり以前だったと思うので、そろそろ届いたのかな。
    そうだと良いなと思うのですが。

    6
    • 朴秀
    • 2024年 2月 24日

    戦線が前進しているなかで
    近接航空支援をやろうとして落とされるパターンですかね
    被害もですけど支援機が前に出づらくなりそうですね

    6
    • 774
    • 2024年 2月 24日

    ここに来て航空機の撃墜が増えたのはなぜだろうね
    これを正確に読み解かないと一概に喜ぶことはできないのでは?
    ウクライナの対空能力が上がったのなら喜ばしい事だが、ロシア軍がただ単にポカってるだけならこれ以上の戦果は望み薄になるだろうし

    4
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