英伊日の次世代戦闘機=GCAP本格開発は英国の予算確保が遅れて問題に直面していたが、Edgewingは2日「初の国際共同契約(6.8億ポンド=約1,440億円)が締結された」と発表。これは開発作業を6月末まで継続させるためのつなぎ契約で、大規模な開発契約に移行できるかは英国の国防投資計画策定と公表にかかっている。
参考:Global Combat Air Programme Agency places contract with Edgewing
参考:Money starts flowing for new GCAP fighter, as Britain sorts out finances
GCAPの本格開発契約を締結できるかどうかは、英国の国防投資計画が財源を確保できるかどうかにかかっている
英国、イタリア、日本は個別に資金を与えて次世代戦闘機=GCAPを開発するのではなく「3カ国の政府が設立した国際機関=GIGO」と「この3カ国を代表するBAE Systems、Leonardo、日本航空機産業振興株式会社(JAIEC)が設立した合弁会社=Edgewing」を設立することでGCAP開発を一元的に管理・運営する予定で、本格開発に向けたGIGOとEdgewingと大規模契約を2025年末までに締結する見込みだったものの、英国の国防投資計画策定が資金不足で公表遅延に直面し、GCAPの開発契約が締結できない状況に直面していた。

出典:Edgewing
Edgewingは2日「英国、イタリア、日本が進める次世代戦闘機の開発において初の国際共同契約が締結された」「3カ国を代表してGCAPを管理するGlobal Combat Air Programme Agencyは設計・開発を主導するために設立された3カ国の合弁企業であるEdgewingと契約を締結した」「6億8,600万ポンド=約1,440億円の契約は主要な設計・エンジニアリング作業に投資され、3カ国間のパートナーシップが勢いを増し、実施ペースを加速させることを可能にする」と発表したが、これは締結が遅れていた本格開発契約とは別物らしい。
Defense Newsの取材に応じたプログラム関係者は「契約は三カ国共同によるもので英国も資金を拠出しており、プログラムのスケジュールを維持するためのものだが、今回の契約はつなぎ契約であり、GCAPの開発作業を6月末まで継続させるための橋渡し的な措置だ」「英国の支出計画(国防投資計画の策定と公表)が完了次第、より大規模な第2次契約の締結が期待されている」と述べており、これはスコットランド選挙、ウェールズ議会選挙、イングランド地方選挙のパーダ期間が関係している。

出典:GlobalCombatAir
英国の政治慣習では「政府は選挙結果に影響を与えかねない発表、決定、文書公表を控える」というのが一般的で、選挙公示日から選挙当日まで重要な計画や予算関連文書の発表を凍結する期間を「パーダ」と呼び、スコットランド選挙前のパーダが始まるのは3月26日、議会が休会に入るのも3月26日、議会が4月13日に再開されても3つの選挙の投票が5月7日に予定されているため「政府は5月8日以降まで国防投資計画を公表できない」という意味だ。
要するに「スターマー政権、労働党、国防省、財務省の意見が対立している国防投資計画の財源確保がパーダ期間明け=5月8日までに政治的合意に達していれば、夏頃にGIGOとEdgewingは本格開発契約を締結できる」と言いたいのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Edgewing





















おぉ…ようやくか
流石にイギリスもこれ以上引き延ばすのはやべぇって理解しててくれたか
一歩前進かと思ったら半歩前進でした。
イギリスが自身の都合で計画を遅らせる気は無い事(当面は)とEdgewingへのお金の流れが止まらなかった事は朗報だと思います。
後はイギリスが予定通り国防投資計画が作成出来るかですね。
同時期にニュースが出たカナダのオブザーバー参加(予定)も今回の契約に影響あったのではと思います。
でも大きな半歩だと思いますね。
仰る様にお金の流れが止まらなかった、あと数週間と言われる英資金の枯渇前につなぎの資金、契約が成立したことがものすごく大きい。
宿題の先延ばし感はあるけど一旦よし、全く動きがないより遥かにマシなので
後は6月にどうなるかですが…
所詮は3か月だけのつなぎ予算であって、共同開発を本格的に開始するという話ではないので、まだまだ安心できる状況ではないですね。
英国労働党政権がGCAPからの撤退、あるいは許容できない水準の先延ばしを選んだ場合に備えて、日本としては代替案を考えておく必要があると思います。
案1. GCAPをF-3計画をベース案とした日本主導の国際共同開発プロジェクトに組み替える。
案2. F-3計画を日本単独で進める。ロッキード・マーティンと提携。
案3. ロッキード・マーティン案のF-22+F-35を発展させる。ただし、以前とは違って、もっと日本に有利な条件で。
案4. いろいろ諦めたうえで、F-47購入国になる。そして、可能な限りの好条件を引き出せるように努力する。
案5. スーパーF-35計画を救済・共同開発するかわりに大きな発言力の獲得を目指す。
あくまでプランBとしてではありますが…
国防なのでプランBを用意しておくのは必要ですけど、少なくともF47については現状まともに考える必要は無いでしょう。
トランプが劣化版を輸出もするぞと言ってるだけだし、何よりどんなのが生産されるかはっきりしない。F22はあれだけ粘ってみても輸出不許可だったし、米国戦闘機に導入後の自由度が無さすぎで英国と組んだ訳で。
プランBとするなら自国技術をベースに協力会社を海外にも募って頑張るしかないでしょうね。
金銭でBAEに多少の協力を仰ぐのが一番では無かろうか。協力のレベル次第ですが英国も許可するでしょう。
案3も無理でしょうね。
BAEという選択肢を失ってLMに泣きついて、曲がりなりにも「選ぶ立場」だった当時より良い条件なんか引き出せる訳もなく。
てかF-22の機体って現代の日本にとっては全く要らないどころかクソ重くて金ばっか喰う邪魔にしかならない要素でしょう。
そして案1は英がGCAPから撤退・縮小したがるならそれを容認した上でGIGO条約(「離脱しても責任は消えない」)を盾にBAEやRRに必要な分だけ有償で手伝わせれば良いだけなのでプランBというよりGCAPの延長線上(のやや残念な1ルート)。案2も今更LMに泣きつくよりBAEに手伝わせる方が現実的なのでこれと大差なし。
なのでプランBより今はとにかく「(英の撤退・縮小込みで)どうやってGCAPを前に進めるか」を考える方が建設的だと思いますね。
F-2開発の頃に日米間の交渉であったと聞く、「アメリカがクリスマス休暇で交渉が停滞し、クリスマス休暇が明けたら年末年始の大晦日で日本が休暇になって交渉が止まった」を思い出すな
兎に角足を引っ張るのは貨幣感の歪み。
前近代の貨幣感が各先進国のグダグダを生み出す元凶になっているわけだから、
そこら辺の知識更新・共有があまり進んでいない状況での戦闘機開発もやはりそういうグダグダに巻き込まれる。
お金とは何者なのかを知らずに大きな予算について思案するとどうしても「他者の財布に集る・誰かに損をさせる」事に夢中になっていく故に。
装備品やシステムとしてのGCAPの完成は遅れるだろうが試作機の初飛行の遅延は許容できないわけで
今更エンジンや機体どうこうの時期は過ぎてる
とりあえず今年8月末の概算要求で答え合わせ
まずは良かったです
空白が生じるのが最悪のケースでしたが継続の意思が認められるので、安心はできないにしてもちゃぶ台をひっくり返すことはしなかった
まだF-3を夢見ていいんだな
「契約が止まってた」を「開発が何も進んでない」「契約が結ばれて、これからようやく仕様を決めて担当割決めて1から設計開始」って解釈してる人がいるのかな。
機体の規模感や方向性レベルの大雑把な話はおそらくGCAPが始まった2022時点で合意できてるはずだし(でなければ日本が計画統合を受け入れるはずがないし、GCAP結成以降、大型デルタになった以外デザイン面で変化らしい変化はない)、そこから3年各国企業で開発事業は色々と契約されて納品されている。国内でもMHIだけでもF-X開発センターが2022までに建屋2つ建てられている。
レディングの500人規模と言われる施設には昨年から10人に満たないエッジウィング社員と派遣だか出向だかの扱いの各国企業の人間が多数入って作業をしてる。正確な人数は不明だが少なくとも「大多数は出向者が占めている」という表現が使われる規模の人数なのは間違いない。
英の契約遅延の話はGIGO-エッジウィングに一本化できてないから指揮系統やら調整やら機密やら諸々「効率が悪い」だけで現場の作業は進んでる。
まあ現時点で総勢9000人とも言われる規模の開発だけに「一本化できない効率の悪さ」は決して軽視できない問題だけどね。