イラン軍の報道官は3日「イスラム革命防衛隊が運用する新型防空システムによってF-35を撃墜した」と発表したが、実際に登場した残骸はF-35ではなくF-15Eのもので、海外の主要メディアも「イラン上空でF-15Eが撃墜された」「イラン領内で生存者の捜索救助活動が行われている」と報じている。
参考:Iran shoots down US fighter jet, one pilot rescued, media say
参考:US F-15E fighter jet shot down over Iran
参考:US F-15E fighter jet downed by Iran, rescue operations underway
参考:F-15E Downed Over Iran, Search and Rescue Efforts Ongoing
このユニークな防空システムは特定の拠点や範囲を保護するのではなく「敵機を狩る」という目的にのみ運用している
イラン軍のハタム・アル・アンビヤ中央司令部報道官は3日「イスラム革命防衛隊が運用する新型防空システムによってF-35を撃墜した」「パイロットの生存の可能性は極めて低い」と発表、先月19日にイラン上空でF-35Aを攻撃したのと同じFLIRシステム=赤外線監視・追尾装置の映像も公開、イラン国営メディアも撃墜したF-35の残骸を公開したが、この残骸はレイクンヒース空軍基地に駐屯する第494戦闘飛行隊所属のF-15Eのもので、F-15Eの射出座席と思われる画像も登場した。

出典:Iranian state media
この件に関する情報は錯綜しているものの、米空軍はHC-130J、HH-60、F-35A、A-10C、MQ-9Aを投入して脱出したパイロットの捜索と救出作戦を実施しており、イラン側は「脱出した米国人パイロットを生け捕りにすれば約6万ドルの報奨金を支払う」と発表、イスラエルメディアのN12 Newsは「脱出した米国人パイロット1名が救出された」と報じているものの事実かどうかは不明だ。
米中央軍は当初「戦闘機の所在は全て確認されている」「イラン革命防衛隊は同様の虚偽主張を少なくとも6回は繰り返している」と主張していたが、CNN、Reuters、Axios、Guardian、New York Times、Defense News、Breaking Defense、Air&Space Forces Magazineは米中央軍関係者の話を引用して「イラン上空でF-15Eが撃墜された」「複数の航空機が投入されて生存者の捜索救助活動が行われている」と報じ始めており、これが事実ならエピック・フューリー作戦中にイラン上空で有人航空機が撃墜された初めのケース、脱出したパイロットがイラン側の捕虜になればトランプ政権にとって政治的なダメージが大きい。
🚫 CLAIM: Iran’s Islamic Revolutionary Guard Corps (IRGC) says it downed an “enemy” fighter jet over Qeshm Island in the Strait of Hormuz.
✅ FACT: All U.S. fighter aircraft are accounted for. Iran’s IRGC has made the same false claim at least half a dozen times. pic.twitter.com/bN7HJdLxEr
— U.S. Central Command (@CENTCOM) April 2, 2026
結局のところ「衛星写真で敵の動きや配置が全て丸見え」というのは幻想に過ぎず、ウクライナやイエメンでも「頻繁に移動する防空システム」「兵士が運用する携帯式防空ミサイル」「巧妙に分散しカモフラージュされたセンサー」を完全に把握することも破壊することも出来ないと実証されている。
特にイランやフーシ派が運用するレーダー誘導式地対空ミサイル、目視観測員、電気光学センサー、赤外線センサーを組み合わせたパッシブ方式の防空システムは目標の検出・追尾にレーダーを使用せず、目標に地対空ミサイルを発射する瞬間だけレーダーを使用するため、これに狙われるとパイロットは15秒~20秒の事前兆候しか察知できず、実際に攻撃を受けたパイロットも「完全な奇襲攻撃で対処時間が極端に短い」と述べるほどで、F-35Aも目視による観測とEO/IRセンサーからは逃れることが出来ない。
A sophisticated US-Israeli enemy fighter jet was struck and downed moments ago over southern Qeshm Island by Iran’s advanced naval air defense system, in a direct rebuttal to the US president’s false claim of having completely destroyed the Iran’ air defenses. pic.twitter.com/sLHV9ASKoi
— Tasnim News Agency (@Tasnimnews_EN) April 2, 2026
勿論、イランやフーシ派が運用するユニークな防空システムは広い範囲を保護することも出来ないし、目標を検出できても撃墜できるかどうかも運の要素が絡むため万能な存在ではないが、イランやフーシ派は端から「空からの攻撃を可能な限り阻止する」というアプローチを捨てており、このユニークな防空システムは特定の拠点や範囲を保護するのではなく「敵機を狩る」という目的にのみ運用しているため、米軍機は何処に隠れているか分からない防空システムに突然「狩りのターゲットにされる」という意味だ。
エピック・フューリー作戦に参加中の米軍機はユニークな防空システムに何度も襲われているはずで、その大部分を回避することに成功していると思うが、格下のイラン軍に高度な有人航空機が撃墜されるというのは一般的にイメージが悪く、逆にイランからすれば「迎撃成功率が低くても1度か2度の成功」を情報戦で全体の成功のように見せかけることができ、このようなリスクを避けるには高価な長距離攻撃兵器を使用するしかない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Airman Samir Harris



















イランくらいの規模になれば、携行SAMを大量保有しているでしょうからね。
米国イスラエル合わせて、2万回以上も攻撃してるわけですから、今まで撃墜・損傷が少ないのも運だなと。
さっさと戦争が終わって欲しいわけですが、F15撃墜がどういった影響を与えるのか、しばらく見守りたいと思います。
追記です。
A-10サンダーボルトⅡ・アパッチなどが、ホルムズ海峡周辺に投入されているようですね。
イランの対応が気になるわけですが、(仮に)SAMによる攻撃を控えているのであれば、SAM温存のためにやり過ごしている可能性も気になっています。
アメリカとしてらパイロットが捕虜になることが1番嫌な事でしょうね
仮にパイロットが捕虜になっていたら交渉して取り戻すか監禁場所に特殊部隊を派遣して奪還するかのどちらかでしょうが、交渉するならアメリカ側が譲歩する必要性が出てきますからトランプ政権に取って大きな打撃になるでしょうし、特殊部隊を派遣するのも、犠牲が出なければ良いですが犠牲が出たり失敗して特殊部隊の隊員が捕虜になったらそれもトランプ政権に取って大打撃でしょうから。
圧倒的戦力差に苦しみつつもイランは体制を立て直し急激に戦い方が上手になってるわ。
トランプがイランとの地上戦を決断しない限りはこの戦法は有効に作用し続けるだろうし。
捜索&救助作戦を地上軍の助け無しで毎回やるのは辛い。