ホワイトハウスは2027会計年度の国防予算として総額1.5兆ドルを議会に要求、国防総省もパトリオットシステムの迎撃ミサイル=PAC-3 MSEを陸軍向けに2,798発、海軍向けに405発も要求し、1度の発注数(計3,203発/139.3億ドル=2.2兆円以上)としては前代未聞の数だ。
参考:PROCUREMENT PROGRAMS (P-1) Department of War Budget Fiscal Year 2027
このまま予算が通ればミサイルの調達数は前代未聞の数になるものの、この発注を1年で処理できる生産能力は今のところ存在しない
トランプ政権は2026会計年度=FY2026の国防予算を「通常の歳出プロセスによる裁量予算=8,387億ドル」と「再調整法案による義務的支出=1,562億ドル」の二段構えで構成し、エネルギー省が管理する核関連プログラムへの資金配分まで含めると安全保障分野の支出額が1兆ドルを突破して注目を集めた。

出典:The White House
この国防分野の義務的支出は大幅な減税、国境警備の強化、不法移民対策、社会保障・福祉の歳出削減などを含めたOne Big Beautiful Bill Act=OBBBA/OBBA(一つの大きな美しい法案)の一部で、国防予算を裁量予算と再調整法案の二段構えにするのは「民主党の議論引き伸ばし=フィリバスターによる抵抗を封じ込める政治的手段」であり、トランプ政権はOBBBAの成功体験に基づきFY2027の国防予算を「裁量予算=1兆1,500億ドル」と「義務的支出=3,500億ドル」の二段構えで議会に提出する予定で、ホワイトハウスは4月3日に大統領予算教書を公開。
国防総省もFY2027予算説明資料を公開し、まだ全てに目を通しきれてないが、米陸軍はパトリオットシステムの迎撃ミサイル=PAC-3 MSEを2,798発(裁量予算で244発+義務的支出で2,554発)調達するため122.3億ドル=約1.9兆円もの資金を要求しており、1発あたりの調達単価は437万ドルになる。

出典:PROCUREMENT PROGRAMS (P-1)
さらにLockheed MartinはMk.41 VLSへのPAC-3 MSE統合を提案し、2024年5月にMk.70 VLSからのPAC-3 MSE試射に成功、米海軍はFY2026の国防予算にMk.41 VLSへのPAC-3 MSE統合費用(6.5億ドル)を計上していたが、米海軍はFY2027予算説明資料の中でPAC-3 MSEを405発(裁量予算で23発+義務的支出で382発)調達するため17億ドル=約2,710億円を要求しており、アーレイ・バーク級駆逐艦でのPAC-3 MSE運用(Mk.41 VLSの1セルに1発装填/Quad-Packによる1セルに4発装填は不可能)が現実のものになった格好だ。
ちなみに、FY2027予算説明資料の中で米陸軍はTHAADミサイルを857発(裁量予算で27発+義務的支出で830発)、米海軍はトマホークを785発(裁量予算で58発+義務的支出で727発)を要求しており、このまま予算が通ればミサイルの調達数は前代未聞だが、まだ要求段階なのでどうなるか分からない。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin



















すごいなアメリカ
国民の福祉より軍事優先ですか
しかも増やした軍事予算は国を守るためでは無く、トランプ大統領による自己満足の為の戦争で浪費されるという
まあそんな大統領を選んだのはアメリカ国民ですけど。
軍事と福祉は別物という前提の上で言うんですけど、アメリカは市民レベルで国家福祉=社会主義的な政策という感覚なので、トランプ云々の前にまず国民が国家による福祉を拒否するんですな
国家を基本的に信頼している(≠与党を信頼している)日本と同じ感覚で考えない方が良いです
なんか毎度逆張りしかしてないよね君
オバマがやろうとして出来なかった国民皆保険制度への反応はまさにそれですよね。
アメリカの高額な医療費考えると、国民皆保険制度への反対は日本人からすると全く理解できないです。
国家、政治、文化と福祉に関する考え方が根本的に違うんでしょうね。
この辺は中国、ロシアも一緒ではないでしょうか。
国民がそれを選択したって点ではアメリカの方がまだましなのではと思います。
トランプを引きずり落とすのもまたアメリカ国民でしょうから。