欧州関連

第4世代機に対するフランスの投資、F5規格とステルス無人戦闘機を開発

フランス国防省はRafale F5規格とF5規格で作動するステルス無人戦闘機の開発を発表、ルコルニュ国防相も「Rafaleのコックピットから制御可能なステルス無人戦闘機はnEUROnの開発結果に基づいて開発され、Rafaleよりも先行して敵地侵入の道を切り開くのが主任務だ」と述べた。

参考:Rafale standard F5 : premières commandes notifiées aux industriels
参考:France kicks off development of wingman drone for Rafale fighter jet

安価な長距離兵器やウイングマンが登場すると第4世代機の評価が大きく様変わりするかもしれない

米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、英伊日のGCAP、仏独西のFCASには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンの運用は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前台しされている。

出典:BAE ACPのイメージ

英国の無人戦闘機構想は紆余曲折しているものの「タイフーンやF-35Bとチーミング可能なウイングマンを2020年代中に配備する」という点は変更されておらず、今年3月に発表された空軍向けの自律型協調プラットフォーム(ACP)戦略の中でも「ACPは2030年までに空軍の部隊構造にとって不可欠な部分になる」「戦闘に勝利する能力を提供するためACPは有人機と連携して日常的に活動する」と言及、英海軍も独自の無人機構想=Project Vixenを立ち上げており、2030年までに戦闘任務、警戒任務、空中給油任務など複数の無人機をクイーン・エリザベス級に統合することを目指しているらしい。

FCASに参加するドイツ空軍も「FCASが実用化される前に有人戦闘機と協調可能な無人機が必要になる」と表明、AIRBUSは新しいウイングマンのコンセプトを今年6月に発表して「これはドイツ空軍のニーズに対する回答だ」「有人機はウイングマンに対する主導権を握っているが、偵察、妨害、交戦といった戦術的任務を委ねることで有人機はリスクから保護され、さらに航空戦力全体の量を手頃なコストで増加させるのにも役立つ」と述べているが、今のところドイツがAIRBUSの提案に乗るかどうかは不明だ。

出典:Airbus

米空軍は開発を進めていたNGADの設計コンセプトを見直している最中だが、ウイングマン(米空軍は有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機のことをCollaborative Combat Aircraft=CCAと呼んでいる)の開発はNGADから独立した存在で、第1弾調達=CCA Increment1としてAndurilが提案したFuryとGeneral Atomicが提案したXQ-67AベースのCCA採用が決まっており、2020年代後半に実用化されてF-35Aや第4世代機と共に運用される。

さらに第2弾調達=CCA Increment2の実施も予定されており、米空軍は最低でも1,000機規模のCCAを調達するつもりで、米海軍は米空軍とは異なるコンセプト(調達コストが安価)のウイングマン開発を模索している最中だ。

出展:General Atomics Aeronautical Systems, Inc.

既存の戦闘機とチーミング可能な無人戦闘機開発はオーストラリア、インド、トルコ、韓国、ブラジルでも進められているが、フランス国防省も8日「核抑止をMirage2000Nから引き続くRafale F5規格の初回発注を行った」「2030年に完成予定のF5規格はコネクティビティとデータ処理能力の面で革新的な技術を導入しているF4規格を発展させたものでコネクティビティ戦闘機の第2世代だ」「F5規格は通常任務と核抑止の両方で仏空軍の作戦能力を強化し、偵察任務や敵防空網への侵入を容易にするよう設計されたステルス無人戦闘機の支援を受けられる」と発表。

ルコルニュ国防相もRafaleのコックピットから制御可能なステルス無人戦闘機について「ダッソーが中心となって開発した技術検証機=nEUROnの結果に基づいて開発される」「このステルス無人戦闘機の任務はRafaleよりも先行して敵地侵入のための道を切り開くことだ」と、ダッソーの最高経営責任者を務めるトラピエ氏も「ステルス無人戦闘機は2033年までに仏空軍の技術的・作戦的優位性に貢献するようになる」と述べているため、F5規格の完成と同タイミングで実用化される可能性が高い。

現段階で有人戦闘機とウイングマンの組み合わせがもたらす効果は空想上の産物に過ぎないが、ウクライナとロシアの戦争は安全保障環境を決定的に不安定化させ「次の戦争までに次世代戦闘機は間に合わない」という見方も登場し、西側諸国が入手可能な第5世代機=F-35は導入待ちの長い行列が発生している上、継続的な開発作業が大幅に遅れて機能のアップグレードや新しい兵器システムの統合に支障が生じており、リスク分散のため第4世代機への投資や需要が上昇傾向だ。

非ステルス機からステルス機への移行は今後も止まらないと思うが、安価な長距離兵器の開発は急ピッチで進んでおり、ここにウイングマンの登場が加わると非ステルス機=第4世代機の評価が大きく様変わりする可能性も0ではなく、有人機に究極のステルス性能を求める考え方にも変化が起きるかもしれない。

関連記事:米空軍向けの無人戦闘機を披露、Lockheed Martinは現行のCCAに否定的
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※アイキャッチ画像の出典:Ministère des Armées et des Anciens combattants

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コメント

    • kitty
    • 2024年 10月 10日

    枯れたF404二発で(F5はもしかして414になるのかな)、この世代に必要なアビオニクスの発電能力・冷却能力が賄えるのだとすると、単発のF-35はコンセプトの時点で無理があったんだなあ。

    • 田舎者
    • 2024年 10月 10日

    現在のペースで無人機を発展開発してゆけば、2030年代にはウイングマンのAIが隊の主導権を握り、有人機とそのパイロットが隊のお荷物として老害みたいな扱いになりそうな予感がする記事内容ですね。

    2
    • ウイングマン
    • 2024年 10月 10日

    >安価な長距離兵器の開発は急ピッチで進んでおり、ここにウイングマンの登場が加わる
    ウクライナ側ドネツクで墜落したS-70(オホートニク)に滑空爆弾が搭載された
    報道が事実ならば、ロシア軍はS-70の実戦テストの段階に入ってるのだろう
    完了後に納品するのではなく実戦投入しながら改良してるなら初期生産といえる

    15
    • 他人事では無い
    • 2024年 10月 10日

    ウイングマンにどこまで何をさせるかがわからないと、何とも言いようが無い。
    戦闘機のパイロットが、ウイングマンに出す指示の詳細さにもよる。
    パイロットが「行け」と言うだけでウイングマンが自分で目標を探して攻撃するのか、一々目標と攻撃方法を指定してやる必要があるのかで、大分変わる。

    2
      • バーナーキング
      • 2024年 10月 11日

      倫理面から「自律攻撃」は西側ではハードルが高い気がするなぁ。
      まだ当分は(能力・技術的にはできても)最後は人間に「お伺い」を立ててからの攻撃になりそう。

      5
    • 58式素人
    • 2024年 10月 10日

    ウイングマン形式の無人戦闘機ですが。
    運用上の疑問ですが。
    該当の無人戦闘機はスーパークルーズの能力をもつのかな?。
    機体の大きさにもよりますが、航続距離の問題もありそうな。

    1
    • cs
    • 2024年 10月 10日

    ロイヤルウイングマン候補の機体にどの程度の能力が要求されるのかは国によって結構違う感じなんですかね

    1
    • 頭髪が貧困
    • 2024年 10月 10日

    複座戦闘機とWSOが復活するかも?

    9
    •  さ
    • 2024年 10月 10日

    ウイングマン形式の無人戦闘機の計画そのものは、F4規格開発中の頃に既にダッソーが発表していたからなぁ
    ダッソー自体がラファール開発中も開発後も一貫して、「現時点の技術ではステルス性最優先機はコスパ的に微妙」という考えを表明し続けてるし、それに対するダッソーなりの回答の一つがウイング万型式の無人機だったわけだけど
    ダッソーの自分流の開発哲学は「アメリカのとは方向性は結構違うけど、結果から見ると完全に的外れというわけでもない」というのがずっと続いてるね
    ミラージュにせよラファールにせよ
    ラファールの開発規格はいつも割とじっくりと煮詰めてから開始してるから、F5規格や連動するウィングマン形式のも大きな遅れなく実現する可能性は割と高いんだろうな

    4
    •  さ
    • 2024年 10月 10日

    ウイングマン形式の無人戦闘機の計画そのものは、F4規格開発中の頃に既にダッソーが発表していたからなぁ
    ダッソー自体がラファール開発中も開発後も一貫して、「現時点の技術ではステルス性最優先機はコスパ的に微妙」という考えを表明し続けてるし、それに対するダッソーなりの回答の一つがウイング万型式の無人機だったわけだけど
    ダッソーの自分流の開発哲学は「アメリカのとは方向性は結構違うけど、結果から見ると完全に的外れというわけでもない」というのがずっと続いてるね
    ミラージュにせよラファールにせよ
    ラファールの開発規格はいつも割とじっくりと煮詰めてから開始してるから、F5規格や連動するウィングマン形式のも大きな遅れなく実現する可能性は割と高いんだろうな

    • 折口
    • 2024年 10月 10日

    上で触れている人いますが、無人戦闘機を遠距離で複数制御する連携戦をやるならセンサー能力と情報処理能力、それを維持する発電能力と冷却性能と内部容積が運用する無人機の能力を制約するでしょう。KF-21のウィングマン連携案のときも思いましたが、無人戦闘機は第四世代戦闘機の活用範囲を増やして兵器としての延命は出来るとしても、最初から無人機連携を前提にしている世代の戦闘機に対する優位性までは保証してくれないだろうなと思います。あくまで最新世代の機体にアクセスできない、買う金もない国々に対する救済措置にとどまるのでは(NGFに参加してるフランスがわざわざ別系統を立ち上げているのもラファール顧客に対する広義のアフターサポートでしょう)。

    6
      • バーナーキング
      • 2024年 10月 11日

      概ね同意ですが「最新世代の機体にアクセスできない、買う金もない国々」といっても2040年頃まではそうでない国がほとんどない訳で。
      15年以上運用する余地があるならそれなりに需要はあるでしょう。

      1
    •  
    • 2024年 10月 11日

    ヨーロッパの状況を見ていると、GCAPがますます要らない子扱いされて行きそうだな。

    • ド素人
    • 2024年 10月 11日

    複数の無人機の遠方からの管制+パイロットのリスク抑制+将来的な志向性エネルギー兵器による自機防御に必要な発電能力と冷却能力とかを考えると、機体の大型化と、最低でも複座化が必要そうですよね。
    究極は「ステルス爆撃管制機」に空自がやってるミサイルと無人機の間の子みたいな使い捨て型の組み合わせになるんでしょうか?戦闘機が無くなって、爆撃機と自動徘徊型ドローンの組み合わせ…みたいな。(ガウと無人ドップ?)

    • ド素人
    • 2024年 10月 11日

    複数の無人機の遠方からの管制+パイロットのリスク抑制+将来的な志向性エネルギー兵器による自機防御に必要な発電能力と冷却能力とかを考えると、機体の大型化と、最低でも複座化が必要そうですよね。
    究極は「ステルス爆撃管制機」に空自がやってるミサイルと無人機の間の子みたいな使い捨て型の組み合わせになるんでしょうか?戦闘機が無くなって、爆撃機と自動徘徊型ドローンの組み合わせ…みたいな。(ガウと無人ドップ?)

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