インド太平洋関連

オーストラリアは今後10年間で約32兆円を国防に投資、最大の強化は海軍

オーストラリアのマールズ国防相は17日「今後10年間の国防支出を503億豪ドル(約320億ドル=約5兆円)増額する」と発表、2034年までの国防支出額は3,300億豪ドル=約32兆円に達し、最大1,450億豪ドルを海軍の強化に投じる予定だ。

参考:Missiles, drones and warships the priority as Australia plans $32 bln defence boost
参考:Richard Marles unveils $50 billion defence spending increase over next decade

今後10年間の投資で最も多くの恩恵を受け取るのは海軍になる

オーストラリアのマールズ国防相は17日「今後10年間の国防支出を503億豪ドル(約320億ドル=約5兆円)増額する」と発表、今回の追加投資によって2034年までの国防支出額は3,300億豪ドル=約32兆円(原潜調達資金を含む)に達し、GDPに占める国防費の割合も2.0%から2.4%に増加する。

出典:海上自衛隊

マールズ国防相は「我々の国防活動の大部分をアジア太平洋地域に集中させる。これこそ世界が我々に期待していることで、それ以外の決断はオーストラリアが(安全保障問題を)真剣に受け止めていないことになるだろう」「我が国の安全保障は大陸の海岸線にあるのではなくもっと遠くにある」「如何なるシナリオにおいてもオーストラリアへの直接侵攻はありえない」「敵はオーストラリアに辿り着く前に多くの損害を被るからだ」と述べ、今後10年間の投資で最も多くの恩恵を受け取るのは海軍になるらしい。

海軍には3,300億豪ドルのうち最大1,450億豪ドル(40%強)が投じられ、この資金は水上艦艇の強化、原潜の取得、Ghost Shark(特大の自立型無人水中機)などの優先事項に、さらに最大740億豪ドル(20%)がミサイル関連プログラム(空軍向けと陸軍向けの長距離ミサイル)に配分される予定だ。

出典:Royal Australian Navy

因みに海外企業はオーストラリアが水上艦艇の強化に投じる資金を狙っており、現代重工業はオーストラリア海軍の汎用フリゲート受注戦に向けてGE Aerospaceと手を組み、HanwhaはAustal買収に動いている。

関連記事:Andurilと現代重工業が提携、自立型海軍システムの設計と製造で協力
関連記事:現代重工業がGE AerospaceやL3Harrisと提携、豪海軍や加海軍の受注戦で協力
関連記事:鳥山安昌浩級潜水艦の引き渡し式典、米英豪など9ヶ国から政府関係者が出席
関連記事:韓国のHanwha、米軍プログラムの元請け参加が可能なAustal買収に動く
関連記事:豪シンクタンク、もがみ型の取得で海軍再編が上手くいくかもしれない
関連記事:オーストラリア海軍の再編計画、汎用フリゲートの検討候補にもがみ型が浮上
関連記事:豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に
関連記事:豪州が国防戦略の見直し結果を発表、陸軍を水陸両用戦に対応した構造に再編
関連記事:豪海軍を悩ませるハンター級フリゲート、再びプログラムコストが高騰か
関連記事:英国、日本が護衛艦輸出を進めているインドネシアとフリゲート輸出契約を締結
関連記事:ポーランドは英国と関係強化、次期フリゲートにアローヘッド140を採用

 

※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems

F-35Block4の能力追加を縮小、TR3構成機は完全な戦闘能力なしで引き渡し前のページ

韓国が整備権限を取得、2027年から清州基地でF-35Aの重整備を実施次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    インドネシアがボーイングからF-15EXを24機調達、売却に関する覚書に署名

    インドネシアは空軍近代化のためラファールとF-15EXの調達を進めてい…

  2. インド太平洋関連

    豪企業、ローエンドの小型UAVを約10ドルで無力化することに成功

    カナダ国防省は高まる小型UAVの脅威に対応するためカウンタードローン技…

  3. インド太平洋関連

    ロシアと韓国が軽戦車で競合、インド陸軍は125mm滑腔砲搭載のスプルートSDを希望か

    インド陸軍が発行した軽戦車のRFI(情報提供依頼書)回答期限が迫る中、…

  4. インド太平洋関連

    インドネシア軍がトルコ製UCAVを調達、アジア諸国のAnka導入は3ヶ国目

    カザフスタン軍やマレーシア軍に続きインドネシア軍もトルコ製UCAV「A…

  5. インド太平洋関連

    コリンズ級潜水艦のアップグレードは2026年開始、トマホーク統合は断念

    オーストラリア海軍は予定されているコリンズ級潜水艦のアップグレード(L…

コメント

    • 名無し
    • 2024年 4月 17日

    実際太平洋戦争開戦初期に攻撃うけたくらいで、自国領土内で戦うのは元々考えてないのではオーストラリア。

    9
      •  さ
      • 2024年 4月 17日

      広すぎる国土で、居住可能な地域は極一部
      そして内陸部は交通網を整備するのに全く向いていない地形多数
      自国領土内で迎撃とか現実的でない(無理だから)、考えたくもないから考えない

      8
        • k.ziro
        • 2024年 4月 18日

        エミュー戦争というのはあったようですね。

        1
      • 名無し
      • 2024年 4月 17日

      まったく身に迫る危機感が無いのに、額だけやたらとデカいから、政争のオモチャが増えて、ますます決まらなくなる予感。。。

      6
    • 無印
    • 2024年 4月 17日

    >「如何なるシナリオにおいてもオーストラリアへの直接侵攻はありえない」
    >「敵はオーストラリアに辿り着く前に多くの損害を被るからだ」

    凄い自信、でも一応本土で戦う想定は考えた方が良いんじゃないかな…

    5
    • ホテルラウンジ
    • 2024年 4月 17日

    オーストラリアが防衛力を必死に増強しようとしてるのは対中国を睨んだAUKUS絡みが表向きですが
    隣国ではない対中国の割には必死度が高そうなのはインドネシアの台頭による脅威をいよいよ感じてるからじゃないですかね
    高い経済成長率&3億弱の人口&平均年齢若いという人口ボーナスでGDPは今後も持続的にうなぎ上りになるのが約束されてて
    もう数年でオーストラリアのGDPは抜き去るでしょう。
    将来経済大国になったインドネシアがどういう方向にブレていくかによっては人口2500万人程度のオーストラリアなんか
    まともに対抗出来ないでしょう。
    それにインドネシアは世界最大のムスリム国であり、オーストラリアは主としてキリスト教国というのも潜在的対立ポイントになるでしょうし。
    オーストラリアにとってのAUKUSは対中国というより、将来インドネシアが大国化&脅威化した場合の対インドネシアの為という意味があるかもしれません。

    31
    • 58式素人
    • 2024年 4月 17日

    ”特大の自立型無人水中機”
    自立とのことですが、どんなロジックで動くのでしょうか。
    航海に関係する部分だけ、とは思うのですが。
    任務達成あるいは状況による任務変更に関わる判断は、
    遠隔で行うことで良いのでしょうか。
    完全自動にして”見敵必戦” というわけにもいかないでしょうし。
    ”見敵必戦” なら、それは任意に移動する機雷みたいなものでしょうか。
    遠隔での判断とすれば、連絡はどうするのでしょうか。
    今現在でも、例えば、大量報復兵器を運用する潜水艦への
    連絡は、技術的なことも含め、慎重に行うようだし。

    4
    • せい
    • 2024年 4月 18日

    考えてみるとオーストラリアも可哀想なもんだ
    本来であれは英国の影に隠れながら、インドネシアとゆっくり地域大国の座を争えばいい程度の出費ですむはずだったのに、中国と戦わないといけないが為に原潜やら無人戦闘機の開発やら高度な兵器への出費を急かされるはめになった
    まあ仮想敵のインドネシアも、中国の東南海進出のせいで出費を急かされてるし、ほんと迷惑な話だよ

    3
    • さめ
    • 2024年 4月 18日

    オーストラリアって中国と最近バチバチしてるけど、安全保障という観点でオーストラリアと中国って双方驚異になってるの?
    まあ日本としてはありがたけけどさ

    3
      • k.ziro
      • 2024年 4月 18日

      大分オーストラリアの政界に親中派議員を作ってたらしい。(若手を懐柔して育てる方法で)
      あと留学生やらインドネシアの後ろ盾になってたりいろいろあるよん。

      4
    • DEEPBLUE
    • 2024年 4月 18日

    意気込みは良いがそんな造船所で大丈夫か?

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP