ウクライナ戦況

アウディーイウカにウクライナ軍の予備戦力が到着、第110旅団の一部と交代

アウディーイウカを防衛している第110機械化旅団のイワン・セカチ報道官は13日「我々に街を保持する十分な戦力はないものの強力な増援が到着している」「2年ぶりにローテーションが実施され一部の部隊が戦闘地域から離脱した」と明かした。

参考:В Авдіївку приходить підкріплення – речник 110-ї ОМБр Сєкач
参考:У 110 бригады нет возможностей удерживать Авдеевку, но приходит подкрепление
参考:Командувач Тарнавський
参考:Ukraine May Have Deployed One Its Best Brigades To Try To Save Avdiivka

消耗した第110機械化旅団を交代させるため「強力な予備戦力」がアウディーイウカに到着したのは事実

タブリア作戦軍のリホワ報道官は11日「これ以上前進されるとアウディーイウカが包囲されるかもしれない」と、DEEP STATEも12日「グレーゾーンが市内の幹線道路に達した」と言及したが、アウディーイウカを防衛している第110機械化旅団のイワン・セカチ報道官は13日「我々に街を保持する十分な戦力はないものの増援が到着している」と明かした。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

タブリア作戦軍司令官のタルナフスキー准将は11日「担当する作戦地域(ザポリージャ~アウディーイウカ)の状況は緊迫しているもののコントロールされている」「敵はどんな犠牲を払ってもアウディーイウカ、ノボミハイリフカ、昨年夏に失った領土を速やかに占領することを狙っている」「敵は歩兵部隊の攻撃に装甲部隊を参加させることが多くなっている」「ウクライナ軍の兵士達は全ての戦線を維持している」「侵略者は新たに投入された戦力と共に破壊されている」と言及。

この発言を受けてForbesは「予備戦力がアウディーイウカ方面に投入された可能性がある」「ウクライナ軍の中で最も優れている第3突撃旅団が派遣されたかもしれない」と報じていたが、第110機械化旅団のイワン・セカチ報道官は13日「我々に街を保持する十分な戦力はないものの増援が到着している。第110機械化旅団がアウディーイウカに配備されてから約2年が経過したが、初めてローテーションが実施され一部の部隊が戦闘地域から離脱した。詳しく述べられないものの強力な部隊だ」と述べた。

出典:3-тя окрема штурмова бригада

第3突撃旅団が投入されたどうかは不明だが、消耗した第110機械化旅団を交代させるため「強力な予備戦力」がアウディーイウカに到着したのは事実で、この決定がアウディーイウカを「分断の危機」から救えるのかどうかに注目したい。

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※アイキャッチ画像の出典:3-тя окрема штурмова бригада

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コメント

    • 名無し
    • 2024年 2月 13日

    勝ったな、風呂入ってくる

    31
      • 名無しの悪夢
      • 2024年 2月 13日

      ゲームチェンジャーきましたね

      9
      • 名無し
      • 2024年 2月 13日

      負けフラグやんけ!

      29
        •     
        • 2024年 2月 14日

        名前変え忘れて…

        1
    • ash
    • 2024年 2月 13日

    他のどの戦線も手が足りてない中「強力な増援」とやらを引き抜かれても大丈夫なんだろうか…?

    37
      • nachteule
      • 2024年 2月 13日

       どこを優先すべきかなんて一般の部外者には分かる訳ない。今のウクライナは雨漏りしている所に置く受けをどこに置くのかレベルの対応して雨漏り箇所を根本的に直す事は出来てないしね。

       第3突撃旅団にしたって旅団ごと投入したかは疑問があるし、戦車が投入されたとしても大隊・中隊・小隊レベルかも分からない。旅団は迫撃砲・ドローン・MLRS様々な兵器を運用しているから街に侵入したロシア軍相手に不要と思われる部隊があるなら省く事も有り得る話だし。

      10
    • たむごん
    • 2024年 2月 13日

    アウディーイウカ後方の防衛線(24:29~)・ウクライナの陣地構築(20:50~クピャンスク近郊)が、動画内にありましたので、共有します。
    興味のある方は、ご覧ください。

    ポクロウシク(アウディーイウカ後方)・スラビャンスク・クラマトルシクは、かなり厳重に防衛線があるように見えます。
    クピャンスク近郊は、防衛線の構築が薄いように見えますが、もちろん映像内の図表にない防衛線もあるとは思います…。

    (2024/01/27 【ウクライナ情勢】ロシア輸送機墜落で一体ナニが。ウクライナ軍の戦略「積極的防御」の狙い。“暗闇”を意味する新型無人機「モロク」の性能とは【深層NEWS】 2024年1月26日放送 BS 日テレ「深層NEWS」 Youtube)

    11
      • sada
      • 2024年 2月 14日

      してみると、ロシア軍がクピャンスク方面に4万と言われる野戦軍を集結させたと言う報道が不気味ですね

      5
        • たむごん
        • 2024年 2月 14日

        仰る通りです。
        戦車500両・戦闘車両600両以上もあると言われており、かなりまとまった戦力に感じます。

        ウクライナ軍のクピャンスク防衛線が整っていないので、どうしても正面戦力・戦略予備を張り付ける必要があり、他正面の戦力が非常に不足するなと…

        8
    • sada
    • 2024年 2月 13日

    朗報ではあるのですが、増援には既存の守備隊が撤退するまでのしんがりとして頑張っていただきたいかなあ
    街を保持する十分な戦力はないならそれしかないでしょ
    ほんとに

    20
    •  
    • 2024年 2月 13日

    数日前から話に出ていたエイブラムス装備の元アゾフの部隊ですね
    既に前線に投入されておりモニュメント周辺に展開していることが指摘されていましたが、それを裏付ける情報でしょう
    まあ撤退支援と戦線安定化の次元の話で大釜の中に捕えられている110旅団の大半が脱出不可能なのは変わりませんね

    27
      • ido
      • 2024年 2月 13日

      アウディーイウカ周辺で確認されたとされるエイブラムスはM1A2でウクライナに提供されたものではない、というのが言われてますね。第3突撃旅団とかいう機械化旅団でもない旅団に配備されているとは思えませんし。

      6
      •     
      • 2024年 2月 14日

      日本語では「第3独立強襲旅団」と呼ばれている旅団ですね

      1
    • Artillery
    • 2024年 2月 13日

    撤退という言葉こそ使ってないものの、撤退支援として強力な部隊を充てがったという感じでしょうか。
    ちと判断が遅い気がしますが、上手く行けば大量の捕虜を出す事態は避けられるでしょう。
    市内のロシア軍の勢いを止めるのはなかなか難しいとは思いますが。

    24
      • 名無しの悪夢
      • 2024年 2月 13日

      ぶっちゃけシルスキ―総司令がゼレンスキーの期待通りの采配をしたという見方でいいのでは、と

      17
      • kitty
      • 2024年 2月 14日

      今より厳しくなった戦況でも撤退戦をうまくやれる精鋭なのか、かき集めた水準以下の部隊なのか、今後の展開の結果でわかりますね。

      3
    • 名無し
    • 2024年 2月 13日

    散々兵力足りねぇって話聞いた後だから他の戦線抜かれるかもって思うのは杞憂か?
    それに陥落が目の前に迫って漸く増援寄越してローテ実行って……相当逼迫していそうだな

    16
    • マダコ
    • 2024年 2月 13日

    2年とは長いですね。
    ここから挽回するのはなんとも難しい気がします。撤退戦で消耗を避けるためでしょう。
    ただのやってる感にならない事を祈るばかりです。これまでを見ると、そうなるような気はしますが。

    11
    •  
    • 2024年 2月 13日

    中途半端な増援の逐次投入はロシアの罠にハマってる気がする。

    軍事アナリストDefmon氏の分析
    「ロシア人がアヴディウカを獲得しても、彼らにとって大きな勝利にはならないだろう。彼らにとっての大きな勝利は、ウクライナが攻撃を仕掛けて反撃しようとする兵力を消耗させることだろう。兵力の枯渇を回避することは、UAにとって現時点での優先事項であるはずだ。」

    31
    • うくらいだ
    • 2024年 2月 13日

    さすがにこのタイミングでローテーションおかしい、俺でもわかる
    要は撤退したってことだろ。

    42
    • 名無し
    • 2024年 2月 13日

    さて…次の防衛線でロシア軍を受け止められるかな?

    8
    • ras
    • 2024年 2月 13日

    都市中央以南にどれだけ残ってるかが焦点ですね。湖周辺の攻勢から間隙与えず補給道まで侵攻したので多く取り残されてると思われます。援軍が補給道のロシア軍侵攻を阻止して分断された南側を救出できるか、或いは北部だけでも逃がして殿となるか。
    留まること自体がリスクになる包囲状態である以上、戦略的には前者に拘り都市の保持を狙わず後者が優先されるべきなのでしょう。
    援軍の規模にもよりますがこの周辺のロシア軍の陣地と規模を考えると正面戦闘は困難窮まるでしょうね。

    12
    • 無名
    • 2024年 2月 13日

    目的がまだわからないですね。
    110機械化旅団を救出したら撤退するのか、代わりに守ってロシアに損害を与え続けるのか、大規模な反撃をして市内に入り込んできたロシア軍を撃破するつもりなのか。

    5
    • 拓也さん
    • 2024年 2月 13日

    現代版「冬の嵐作戦」とでも言ったところかな? シルスキーの今までの指揮を見てると嫌な結果が目に見えてるというか。あと、第3突撃旅団は流石に充足率大丈夫だよね…。

    9
    • Easy
    • 2024年 2月 13日

    守備隊の戦力が消尽し切ったタイミングで増援を送っても、と思いますね。
    普通に考えれば撤退の援護が真の任務で、110旅団の一部がローテーションではなく「110旅団の一部が脱出に成功した」が実態に近いのでしょうけれど。
    ただ、ゼレンスキー政権はまさかの死守命令もあり得るので油断できない・・・

    25
    • KM
    • 2024年 2月 13日

    ロシア軍は、オプトネから旧防空基地周辺に対する小さな包囲と、装甲部隊によるペルヴォマイズケ-セメニスカ西方-ベルディチのラインでの、ウクライナ軍の増援部隊をも飲み込む大きな機動包囲という二重包囲を狙っているのではないでしょうか。
    コークス工場から市街地の地域は、拘束部隊が出来るだけ多くのウクライナ軍を留め置くための罠と化しているのかも…

    7
      • T.T
      • 2024年 2月 13日

      解囲部隊の投入に合わせた二重包囲は考えました。例の集結中とされる予備戦力はこの為かなと。
      しかし、この戦争ではそういう機動は火力によって阻止されるんじゃ無いか。ウクライナ軍の消耗具合によっては有り得る?うーん。

      6
        • KM
        • 2024年 2月 14日

        仰るとおり、これまではドローンによる索敵に基づく砲撃の威力が機動力を上回っていましたが、ウクライナ軍の弾薬不足は深刻で突破兵力に対する破砕砲撃も思うようにできない模様なので、ここ数日のロシア軍両翼の動きの広さと速さを見ていると、ドローン妨害装備を帯同した装甲部隊による機動が既に行われているのではないかと思った次第です。

        7
    • nanashi
    • 2024年 2月 13日

    正直に言うわけ無いんでしょうが、十中八九撤退してるんでしょうね。
    ただ「転進」を現代的な言い方にするとローテーションとなるのは面白かったです。

    34
    •  
    • 2024年 2月 13日

    アウディーウカ救援の為にSelidovoの街の訓練場に集結していた1500名の兵にクラスター弾頭のイスカンデルミサイル2発が落ち数百名が戦死したという未確認情報がある。
    第3突撃旅団もその中に含まれていたという情報もある。
    現在SBUが街を封鎖して情報提供者の摘発をしているのだとか。

    9
      • たむごん
      • 2024年 2月 14日

      情報ありがとうございます、勉強になります。

      nmbさんの下記投稿と合わせて、非常に分かりやすかったです。

      1
    • 暇な人
    • 2024年 2月 13日

    どうやって町に入るつもりなんだろう。ロシアの砲撃範囲内だよねあの道路

    9
    • nmb
    • 2024年 2月 14日

    アウディーウカに移送される予定の予備の部隊が中継地点のセリドボという町でミサイル攻撃を受けたと話題ですね。
    今回の戦争において最も死傷者数が多いミサイル攻撃ではないかと言われています。
    ウクライナ側も実際にミサイル攻撃があったこと自体は確認しているようです。
    シルスキーが総司令官になった時点で予備兵力が送られることを予見して予め目星をつけていたのかもしれませんね。
    これが事実となると、ウクライナ軍は最早纏まった予備兵力をアウディーウカに送ることすらまともに出来なくなるかもせれません。

    25
      • たむごん
      • 2024年 2月 14日

      情報ありがとうございます、勉強になります。

    • 冬戦争
    • 2024年 2月 14日

    ザルジニー将軍はゼレンスキー大統領にバフムトからの撤退を進言していたが、ゼレンスキー大統領は受け入れずバフムトに兵力を送り続けて兵力を失い続けた。アウディイウカに兵力を送ったのも撤退支援なら良いと思うがゼレンスキーとシルスキーがそうするとは思えない。バフムトと同じ展開になるだろう。

    7
    • 名無し
    • 2024年 2月 14日

    どうにか出来るなら去年援軍送ってただろうしなあ

    2
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