中国関連

中国の原潜建造能力が米国を上回る、通常動力型にも極超音速ミサイルを採用

国際戦略研究所(IISS)は最近公開した報告書の中で「中国の原潜建造能力は急速に拡大し、2021年から2025年にかけての進水隻数および総トン数で米国を既に凌駕している」と言及、Naval Newsは「通常動力型潜水艦の039B型に極超音速ミサイル=YJ-19が採用された」と報じた。

参考:Boomtime at Bohai: China ramps up submarine production
参考:Major Upgrade Sees Hypersonic Ship-Killer Missiles Aboard China’s AIP Submarines
参考:China’s nuclear submarine production rate surpasses that of US: Report

中国は096型や095型で静粛性の問題を大幅に改善してくる可能性があり、そうなると運用範囲が沿岸海域から西太平洋に拡大するかもしれない

米海軍は2023年に発表した造船計画の中で「2028年までにSLBMを搭載したコロンビア級原潜を毎年1隻、巡航ミサイルを搭載したバージニア級原潜を毎年2隻納入できるようにする(SSBN×1+SSGN×2)」と発表したが、国際戦略研究所(IISS)は最近公開した報告書の中で「中国の原潜建造能力は急速に拡大し、2021年から2025年にかけての進水隻数および総トン数で米国を既に凌駕している。依然として欧米の原潜と比べると品質面で遅れを取っているが、中国の数的な潜水艦増強は生産能力拡充に苦慮する欧米にとって安全保障上の深刻な課題となっている」と言及した。

出典:CSR Report

中国が建造しているSSBNは約1万トンの094A型、コロンビア級原潜に匹敵する約2万トンの096型、SSGNは約6,500トンの093B型、バージニア級原潜に匹敵する約1万トンの095型で、IISSは「中国の原潜建造ペースは2021年~2025年の5年間で2011年~2020年の10年分を上回った」「中国の原潜は渤海船舶重工有限責任公司の造船所でのみ建造され、2019年~2022年まで大幅に拡張された」「2024年に7隻目、2025年に8隻目の094A型を進水させたことはほぼ確実だ」「093B型は2022年~2025年の間に計9隻登場した」「2026年2月には095型の1番艦が進水した」と指摘。

もし、中国が2024年から年094A型×1隻+093B型×2隻を進水させ続けていれば「米国が2028年までに達成する年間SSBN×1隻+SSGN×2隻」を既に実現していることになり、さらにNaval Newsは16日「中国国営メディアが『通常動力型潜水艦の039B型に極超音速ミサイル=YJ-19が採用された』と伝えた。これは中国海軍の揺るぎない急速な成長を象徴している。039B型はこの種の兵装を運用する世界で唯一の通常動力型潜水艦で、ロシアのジルコンは垂直発射管での運用にしか対応していないためキロ級には搭載できない」と報じ、中国の潜水艦戦力は急速に規模と能力を拡張している。

米海軍情報局は2009年「093型と094型の静粛性は冷戦後期のソ連製潜水艦よりも騒音が大きく、展開時の追跡が容易だ」と発表したが、IISSは「改良型の093B型と094A型は静粛性の問題をある程度改善しているだろう」「但し、基本設計となる船体形状が維持されているため静粛性の向上に限界がある」「そのため南シナ海の比較的安全な海域でのみで運用されている」「この問題も南シナ海から米本土西海岸を射程に収めることができる新型SLBM(JL-3)への換装で部分的に解消されている」「次世代の096型も2030年代初頭までに就役してくる」と指摘し、静粛性の問題は運用方法と新型SLBMでカバーされているという認識を示した。

Breaking Defenseも19日「中国の原潜建造能力が米国を上回っている」「IISSの調査によると中国は2021年から2025年の間に原潜を10隻(推定7万9,000トン)を進水させた」「米国は同時期に7隻(推定5万5,000トン)しか進水させていない」「米国の攻撃型原潜は対地ミサイルを搭載するが、中国の攻撃型原潜=093B型には昨年9月に披露されたYJ-19などの対艦ミサイルが搭載される可能性がある」「この違いは米海軍が広範な遠征型兵力投射任務を担っているのに対し、中国海軍の戦略は西太平洋に主眼に置いているためだ」と報じ、一般メディアも「中国の原潜建造能力が米国を上回っている」と騒いでいる。

因みに、中国は096型や095型で静粛性の問題を大幅に改善してくる可能性があり、そうなると運用範囲が沿岸海域から西太平洋に拡大するかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:China Military Bugle

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コメント

  • コメント (16)

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    • たむごん
    • 2026年 2月 21日

    そもそも造船の建造能力が、米中とんでもない格差がありますからね。

    海事クラスターがしっかりしているということは、造船関連企業の集積~大量の造船作業員まで整っているということになります。

    26
      • やみと
      • 2026年 2月 21日

      潜水艦は、本来なら米造船業最後の砦のはずだった
      すべての軍艦のうち民間造船業との共通部分が最も少ないものとすれば、民間造船業の衰退の影響を受けるのは最も少ないはずだ
      海軍予算が十分あれば、多少は現状維持できるだろうし、少なくとも衰退を遅く抑えることはできるだろう……なお現状

      18
        • たむごん
        • 2026年 2月 21日

        原子力潜水艦の整備もヤバいという指摘もあり、アメリカ海軍・造船所さん頼みますよという思いで眺めています。

        対ベネズエラ・対イランなどの作戦を見ても、(極東以外では)米軍の強さまだまだ感じるわけですから衰退を抑えて欲しいものですね(極東は余裕ないですね)。

        (2025.08.05 「原子力潜水艦10年にわたり整備遅延」…これが造船業崩壊した米国の実態 中央日報日本語版)

        6
    • パンダ
    • 2026年 2月 21日

    原子力艦と通常艦だから単純な比較は出来ないが少なくとも造船能力に関しては米中間では最早天地の差が出来上がっている有様な訳で。
    何なら中国どころか韓国や日本にすら劣る始末でコンステレーション級の様なもがみ型に近い艦艇ですらマトモに建造出来ないレベルだからもう絶望的としか言えないな。

    31
      • ネコ歩き
      • 2026年 2月 21日

      そういえば、熟練工が減っていて作業員の質低下が著しく外国資本投入で最新設備を導入しても急には改善できないだろう、てな話をどこかで読みましたね。

      20
      • 導入してもこのありさまだよ!というのがこの9月に中央日報日本語版ででてますね
        数十年かけてブルーカラーへの教育疎かにしてきたらそらこうもなろうと・・・

        13
    • 4bgdmut
    • 2026年 2月 21日

    095型SSN(隋級)の建造が確認されましたね。
    ちなみにトランプ大統領は昨年「アメリカの潜水艦はロシアと中国より25年先を行っている」と述べていますので、093B型SSNの性能は改ロサンゼルス級を上回って、バージニア級(ブロックI)に近いということになります。

    11
    • YF
    • 2026年 2月 21日

    太平洋に関しては米中で比較するよりは日米韓豪と中国で比較するのが良いと思います。
    米国は世界中が戦域でしょうけど中国はアジア圏に戦力集中出来ますからね。その点でも米中だけで比較するとどうしても米国が見劣りします。
    その上で日米韓豪は潜水艦の能力、哨戒機、哨戒ヘリの数と能力、水中ソナー網の構築、各艦艇の対潜能力、練度、経験、指揮能力等の総合的な対潜力で中国の潜水艦を封じ込めていくしかないでしょうね。

    7
      • nachteule
      • 2026年 2月 21日

       原潜に関して言うなら活動し易い海域であるなら無限の電力を背景に探知・攻撃・移動に関して最大限のスペックが発揮出来るので通常動力メインの海軍では多層の待ち伏せで攻撃用の魚雷もしくは海空各無人アセットとかの攻撃手段の長射程/高速化でも勧めない限り難しいのでは無いか。

       その内、静粛性が高い原潜相手なら時速300キロ位で移動出来る移動型ソノブイじゃないとダッシュで逃げる原潜だとあっと言う間に探知範囲を超えられて無駄になるとかになりそうだし、VLAとかも100km位飛んでかなりのピンポイントに高速で進む魚雷を複数発撃ち込む位しないと辛そうではある。

       SG-1 FathomみたいなAI搭載の水中監視システムみたいなのは必須になるだろうし、同様のシステムは中国だって多層探知システム構築してるんでいずれ採用するだろうね。

       中国があれだけ米海軍とかを想定して探知システム構築に躍起になっているのに台湾海軍が逆行するように探知されやすく逃げるのにも不利になりそうな大型潜水艦を推進するのはどうなんだろうね。
       余程探知されないかアンチ魚雷装備が優秀であるとか水中航続距離が極めて長いとかじゃない限り水中の脅威とかになる前に早々に把握されて終わりとかの未来もありそうだ。メンテ期間を考えたら多数導入は必要だが本格的に運用出来るようになった瞬間に、探知能力の劇的向上と攻撃手段の変化で台湾海軍の通常潜水艦は戦わずして敗北するみたいになるなら計画自体変りそうではある。 

      4
    • 58式素人
    • 2026年 2月 21日

    ”「そのため南シナ海の比較的安全な海域でのみで運用されている」”
    冷戦期のノールカップ岬沖の水中戦みたいな事が既に起きているのかな。
    先日、米コネティカット(SSN-22)が水中衝突事故に遭っていたようだし。
    米国が真面目?に対中共戦争をするとして、単純に潜水艦の数が足りないとして、
    どこで数を補おうとするだろう。やっぱり、豪(≒英)/日そして台湾?かな?。
    対中共となれば、韓国は、朝鮮戦争が再開される場合以外は日和見?だろうし。
    豪州に原潜を解禁したし、今度は日本にせまって来る?かな?。
    あと、フィリピンにお金を渡して、通常潜水艦を調達させるのかな?。
    ノールカップ岬沖でのノルウェーの役割を期待して。

    4
    • 名無し
    • 2026年 2月 21日

    日本も、建造費が激高で数が揃えられそうもない原潜とか寝言言ってないで、その建造費で通常動力潜を3倍作って、東シナ海に高密度に仕掛けておいたほうが、中国目線的には絶対に陰険でイヤらしい日本の行動と見えるだろうよ。

    16
      • 中村
      • 2026年 2月 21日

       通常潜は戦域までの移動が致命的に苦手です。海面近くのシュノーケル充電で内燃機関を回して排気してたら静粛性もへったくれも有りません。無防備時間を極限する為には低速航行をするしか有りません。

       AIPでもスターリングで3ノット、燃料電池でも6ノット前後だと言われますから水上艦の巡航速度と比べて1/3以下です。

       日本の場合、ソ連相手なら三海峡と言うチョークポイントが有るので問題になりませんでした。極端な話、瀬戸内で充電して関門海峡で待ち受ける分には機器の電力しか消費しないんですから。ドイツならバルト海峡です。

       原潜の自力建造は不可能に近いので今後も通常潜だとは思いますが、原潜欲しいってのも本音でしよう。

      22
      • KEI
      • 2026年 2月 21日

      通常動力の潜水艦ってとにかく”遅い”のが欠点なんですよね。水中、水上だと速度を2倍にするには出力を8倍にする必要があるので、移動する味方艦隊に随伴して護衛したり、敵の艦隊や原潜を追跡するためには、通常動力の潜水艦では不可能です。原潜にしかできない任務がある以上、通常動力の潜水艦を増やしても代替にはならないかと思います

      17
      • 半分の軍事費の国から
      • 2026年 2月 21日

      10年後には、通常動力型は無人潜水艦に任せて、有人は原子力潜水艦に移行した方が良さそうですよ。少子高齢化で人も減る訳ですし、水中速力40ノット以上とかで航行出来る潜水艦が普通化するでしょうし、潜水艦乗員の待遇も向上させなければならないはずですし。

      10
    • 名無し
    • 2026年 2月 21日

    明らかに新大陸に引き篭ろうとしてるアメリカに期待して戦うよりユーラシアの覇権交代に備えて動く方が合理的なんじゃないですかね

    13
      • 匿名11号
      • 2026年 2月 22日

      それくらいの距離感の方が同盟相手として与するにはむしろ都合がいいですけどね。

      なまじすぐ近くの国に依存することになってたらさあ大変。

      2

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