欧州関連

エアバスも対自爆型無人機分野に参入、バード・オブ・プレイ迎撃ドローンを発表

ウクライナ軍は迎撃ドローンを用いてShahed-136を効果的に迎撃しており、西側防衛企業も独自の迎撃ドローンが次々と発表する中、エアバスも30日「エアバス製のバード・オブ・プレイ迎撃ドローンが自爆型無人機を自律的に捜索、探知、識別し、空対空ミサイルで迎撃することに成功した」と発表した。

参考:Successful first demo flight for Airbus’ uncrewed Bird of Prey interceptor

米国はスティンガーよりも安価であれば持続可能なShahed型無人機の迎撃手段と、欧州はShahed-136と同じ価格帯なら持続可能な迎撃手段と考えている

Aviation Weekは2024年12月「今後10年間の有人戦闘機に対する需要は630億ドルで、急成長を遂げる軍用無人機分野も270億ドル」と見積もっていたが、今では軍用無人機市場の年平均成長率が今後10年間6.0%後半から7.0%台で推移(2034年の市場規模は300億ドルを突破)すると予測されており、商業分野を含めた無人機分野の市場規模も2025年に推定445.4億ドル=約7.1兆円、2026年には推定526.5億ドル=約8.4兆円、2035年には推定2,099億ドル=約33兆円まで成長する予測されており、もう軍用市場も商業市場も民間投資が成長を主導している。

2025年までの軍用無人機分野ではウクライナとロシアのドローン戦争で効果的だった自爆型無人機、徘徊型弾薬、無線・光ファイバー制御のFPVドローンが西側の防衛企業から次々と登場し、2025年後半にウクライナ軍は迎撃ドローン(STINGとP1-SUNだけで5,000機以上のドローンを撃墜)の本格運用を開始して効果的だとわかると、西側の防衛企業からも迎撃ドローンが次々と市場に提案され始めた。

米陸軍は元Google CEOのエリック・シュミット氏が開発したサーベイヤー迎撃ドローンを万単位で調達している可能性が高く、フランス軍もスタートアップ企業のAsterodynが開発したAST78迎撃ドローンを調達しており、独Quantum Systemsもジェットエンジン搭載のGeran-5を迎撃可能なストリラ迎撃ドローンにウクライナ軍から1.5万機の受注を獲得している。

今月だけ見てもラインメタルがRV-005迎撃ドローンを、スイスのデスティヌスがShield AIのHivemindを採用したホーネット迎撃ドローンを、ポーランドを拠点とするウクライナのスタートアップ企業=OSIRIS AIも米投資家から資金調達に成功してUEB-1迎撃ドローンを発表し、多くの企業が明確な特定国家による調達計画なしに迎撃ドローンへの投資を進めており、エアバスも30日「現実的なシナリオの下でエアバス製のバード・オブ・プレイ迎撃ドローンが自爆型無人機を自律的に捜索、探知、識別し、エストニアのフランケンブルク・テクノロジーズが開発した空対空ミサイルで迎撃することに成功した」と発表。

エアバス製のバード・オブ・プレイ迎撃ドローンはFCASのサブシステム開発に用いられているDo-DT25を改造したもので、ウクライナ軍が使用している迎撃ドローンとはコンセプトが異なり、もはやShahed-136のような自爆型無人機を迎撃する無人戦闘機もしくはUACVに近く、フランケンブルク・テクノロジーズが開発したMk.I迎撃ミサイルを最大8発搭載して指定された空域を徘徊しながら自律的にShahed-136を捜索、探知、識別、迎撃するという代物だ。

エアバスはMk.I迎撃ミサイルについて「高亜音速の撃ちっぱなしミサイルで交戦距離は最大1.5キロメートル」「全長は65センチメートル、重量は1発あたり2kg未満」「これまでに開発された誘導迎撃ミサイルの中で最も軽量だ」「近距離で目標を無力化するよう設計された破片弾頭を搭載している」「これにより再利用可能なバード・オブ・プレイは1回の任務で複数の自爆型無人機を比較的低いコストで迎撃することが可能になる」と説明しており、ポーランドとエストニアは27日にMk.I迎撃ミサイルを含む防衛ソリューションの開発・生産で協力する協定を締結している。

これはポーランドのPGZとフランケンブルク・テクノロジーズの直接協定で、PGZも「今回の協定に基づいて年10,000発のMk.I迎撃ミサイルを生産できる生産拠点をポーランド国内に設立する予定だ」「両社は射程5~8キロメートルに拡張したMk.II迎撃ミサイルの開発でも協力する」と説明しており、西側諸国でもShahed-136のような自爆型無人機を迎撃する手段が急速に実用化されている格好だ。

ちなみに、米陸軍は低空、低速、小型ドローンに対抗するための拠点防衛用対ドローン迎撃システム=Fixed Site-Low, Slow, Small Unmanned Aircraft System Integrated Defeat System(FS-LIDS)を開発し、このシステムの主要迎撃機としてRaytheonが開発したCoyote Block2/Block3を採用、2025年度から5年間でCoyote Block2×6,000発、Coyote Block3×700発、固定式Coyoteランチャー×252基、移動式Coyoteランチャー×25基、固定式Kuバンドレーダー×118基、移動式Kuバンドレーダー×33基調達する予定だ。

既にFS-LIDSは欧州軍、中央軍、アフリカ軍の管轄区域36拠点に配備され、2024年末までに実戦で178機の無人機を撃墜し、Next-Generation C-UAS Missile(次世代無人機迎撃ミサイル)の競争入札も行われ、AeroVironmentは2025年10月「当社がNGCMの請負企業に選定され、Long-Range Kinetic Interceptorプログラムに9,590万ドルの契約を獲得した」「我々がLRKI向けにFreedom Eagle=FE-1 NGCMの製造と納入を行う」と発表。

端的に言うとFS-LIDSとCoyoteの組み合わせは小型無人機の脅威に、Freedom EagleはShahed-136クラスの無人機に対抗するシステムで、AeroVironmentも「Shahed型無人機の進化を目の当たりにしている」「このクラスの無人機は亜音速で巡航するミサイルに近づいており、ジェットエンジンを採用することで高高度を高速に飛行して到達範囲も拡張されている」「こうした脅威に対抗するため作られたのがNGCMでSHORADのギャップを埋める役割も担っている」「NGCMは無人機迎撃ミサイルだが固定翼機、回転翼機、巡航ミサイルの迎撃能力まで備えている」と述べている。

さらに「Coyoteを使用した迎撃はFS-LIDSに接続されている非常に高価なRaytheon製Kuバンドレーダーに依存しているが、FE-1は使用するレーダーに依存していない。そのためIBCSに接続すればAN/MPQ-64やAN/TPQ-53などの既存レーダーで設計通りの性能を発揮できる」と述べ、War Zoneは「Coyote Block2の単価は約10万ドル、FE-1の目標単価は15万ドルから20万ドルを予定しており、スティンガーは過去10万ドルから12万ドルで調達できていたものの現行型は40万ドルに達するという報告もあるため、Coyote Block2とFE-1は陸軍が保有する全ての迎撃ミサイルよりも安価だ」と評価しているのが興味深い。

出典:Airbus

フランケンブルク・テクノロジーズが開発したMk.I迎撃ミサイルの推定単価は5万ドル~7万ドルで、米国はスティンガーよりも安価であれば持続可能なShahed型無人機の迎撃手段と、欧州はShahed-136と同じ価格帯なら持続可能な迎撃手段と考えており、この辺りは国の経済力によって違いがあるのだろう。

管理人的にバード・オブ・プレイと言えばスタートレックのクリンゴン艦(ロミュラン艦のバード・オブ・プレイはデザイン的に好きではない)を彷彿させるので、せめてDo-DT25を緑に塗装してほしかった。

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※アイキャッチ画像の出典:Airbus

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    • たむごん
    • 2026年 3月 31日

    バークスデール空軍基地=アメリカ核戦略の中核基地に、3月9日以降ドローン編隊が継続的に侵入。

    電子戦(ジャミング)が効かず、複雑な飛行経路をとり、戦略爆撃機(B-52)の離発着を妨害した事件があったようです。

    ドローン+無人機この5年くらいの戦訓を見ると、新兵器の登場に対応していかなければ、実戦で大変な事になるだろうなと改めて感じますね。

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