ポーランド人農民によるウクライナ国境の封鎖は3ヶ所から6ヶ所に拡大、この抗議活動を主導する労働組合は「20日からポーランドとウクライナの国境にある全検問所(計9ヶ所)を封鎖する」と予告しており、陸上輸送の混乱解消は全く目処がたっていない。
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本当に抗議活動が「全ての検問所」に拡大されるかどうかは明日になってみないと分からない
欧州議会の国際貿易委員会は先月末「ウクライナ製品(農産物や加工品等)に対する輸入関税や割当上限の一時停止措置」の1年延長を27対7で可決、この案が5月の本会議で可決されると当該措置の期間が2025年6月まで延長されることになるのだが、この結果に失望したポーランドの農民組合は2月9日からウクライナ国境の封鎖を再開。
ポーランド人農民の抗議活動は当初、7.5トンのトラック通過に対応したシェギーニ検問所、ラーヴァ・ルーシカ検問、ヤゴディン検問所の3ヶ所に限定されていたものの、3.5トン以上のトラック通過に対応したウスティルーフ検問所とウーリニフ検問所、7.5トンのトラック通過が可能なクラコヴェッツ検問所にも拡大、18日時点で約2,900台のトラックが国境を超えるため長い列を作ってる。
さらに18日にポーランド人農民は国際鉄道の検問所封鎖を試みたものの警察に阻止され事なきを得たが、明日から抗議活動は全ての検問所(計9ヶ所)に拡大される予定だ。
W Dorohusku dziś są wszyscy, rolnicy (także z Europy), przewoźnicy, plantatorzy, hodowcy, górnicy, przedstawiciele wielu branż.
Polacy nie oddadzą w ciszy swoich gospodarstw, firm, będą walczyć, bez znaczenia jak bardzo Unia Gejropejska będzie próbować realizować swoją utopijną… pic.twitter.com/xd02zcvXAm— Rafał Mekler (@MeklerRafal) February 18, 2024
Polacy nie będą umierać w ciszy! pic.twitter.com/d4GlmNnRkW
— Rafał Mekler (@MeklerRafal) February 18, 2024
Ludzie mają dosyć.
Emocje aż kipią, nikt nie chce umierać bez walki.
To jest Polska nie Ukraina, nie Bruksela! pic.twitter.com/ghpFSv8b4x— Rafał Mekler (@MeklerRafal) February 18, 2024
Dorohusk, jest moc! pic.twitter.com/Oq0dMquPFu
— Rafał Mekler (@MeklerRafal) February 18, 2024
本当に抗議活動が「全ての検問所」に拡大されるかどうかは明日になってみないと分からないが、ウクライナの輸入額に占める道路輸送の割合は約70%(2023年実績/輸出額に占める割合は約35%)で、この大部分がポーランド国境を経由しているため検問所封鎖による影響(国境通過に時間がかかるため運送コストが跳ね上がっている)は無視できないものがある。
因みに農民組合が申請した抗議活動の期間は3月30日までだが延長申請が可能なため、どこまで抗議活動が続くのか誰にも予想がつかない。
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※アイキャッチ画像の出典:Rafał Mekler
これまだ何も対応されてなかったんですね…
何の対応もというか、農家の方々の圧力に対してポーランド政府が「よっしゃ、ちゃんと対応したるから任せとけ」みたいな事を言って、一旦は抗議活動が収まったんですよ
ところが、特に何の進展も無いまま記事にあるように欧州議会の国際貿易委員会でウクライナ向け優遇措置の1年延長が決まり、そのまま5月の本会議でも可決されそうな見込みなので農家の方々の怒りが再爆発という流れです
一度は安心させたのに裏切られたという状況なので、前回よりも抗議行動は苛烈になり全検問所封鎖という大事になりつつあります…ほんとどうしてこうなった
EUの政策が、難民問題にせよ、ウクライナ産農産物にせよ、
EU全体で負担しようではなく、近場の人達に問題を押し付けよう・・・というだけですからね。必然的でしょう。
EU内ですら国家間は真の友人にはなれないという見本ですね。
結局周辺諸国にとっては他人事ではないのだと支援に関して力説しようとも、例え周辺諸国でも一般市民からしたら一番大切なのは自分の生活、給料、物価、税金、娯楽なのはしょうし、それらに不満がある以上国家は自分たちの生活を優先しろと抗議の声が上がるのもさもありなんといった感じでしょうね
日本でもウクライナ大規模支援のために特別増税、物価や電気代・ガス代超高騰、社会保障費及び年金削減なんてことになったら直接行動やデモは無いにしてもSNSデモだったりネット上での罵詈雑言、世間話でも政府に対する怨嗟の声が凄いことになるでしょうし
トラック運転手も大変だな。通過待ちの間も飯もトイレも有るだろうに。
以前の記事ですと、1時間当たり1台か2台でしたっけ。何日も車内泊或いは外泊してる人も居るんだろうな。
もうこれ足止めされてる運転手や封鎖に参加している農民向けに飲食や娯楽を提供する商売やれるでしょ。
あーもうめちゃくちゃだよ(呆れ)
ウクライナの兵站にダメージですし、各国の対ウクライナイメージ悪化も続くわけですからね…。
ウクライナ支援は、神聖なものではないですから、各国の政治体力が削られます。
ウクライナ政府、外務省の目算が甘すぎて、政治的な理由で妥協しないのか謎なんですよね。
ウクライナ兵、前線兵士の生死に直接関わるのに、ちょっとよく分からないんですよね。
軍事物資や生活必需品は無制限なのであれば思ってるほど影響ないんでしょうね
ウクライナ庶民のぜいたく品というか嗜好品が無くなるだけ
財政面は西側が支援するから輸出できないのも問題無しと
まず軍事物資は鉄道で運ばれており、ソ連規格の鉄道がポーランドのスワフクフからキーウまで繋がっている
車両や砲弾など重量物は全て鉄道輸送なので、トラックで運ばれているのは殆どが民需物資
1枚目のtwitter埋め込み、1つ目の動画に、線路も写ってるので、抗議が拡大すればどうなるのか分からないですよ…。
トラックは、医療品なども運ばれており、ウクライナ兵にも活用されているとか考えるのが妥当と思います。
これウクライナが悪いってよりウクライナ支援の特権使って荒稼ぎしてる悪いやつがいるっぽいんですよね
ウクライナ側の業者も馬鹿正直にEU通過して中東やアフリカに出すより近隣国で捌いちゃった方が楽だし割もいい(実際割高のレートで買ってくれるっぽい)
これをウクライナや東欧の問題だろ知らねーよでスルーしてるEUはマジで恥を知った方が良い
まあEUの中西で儲けてるやつがいるんでしょうけど
EUに落ち度があるとすればPiS政権時のポーランドの短慮を利用して平時なら通らないであろう各種ウクライナ支援協定で中東欧諸国に負担を押し付けた点ですが、それを解消するための妥協をウクライナ現政権が全くという程にしていないのは事実です。
この状況を解決するためのコストの大半をEU側が負担するというのは非現実的であり(逆に言えばそれほどまでにウ国に寛大な内容であり、同国経済・民意の助けになっていた)、ウクライナ現政権が政治的な痛みを嫌うだけでなく官民挙げて支援国に対する対決姿勢を見せているのは如何にウ国が苦しい状況であろうと許容すべきことではありません。
ドイツベルギーオランダとか各国の農民も参加してるらしいですね。
そこまでの話になってるなら、もう自分たちが作った作物(規格外やキズなどの所謂訳アリ品)を持ち寄って闇市やったら良いと思います。共通通貨ユーロで生活してるんだし、色々な国の作物が一同に集まって売られる市場とか面白そうじゃないですか。何なら作物同士の物々交換でも良いし。
私の兄が北海道士幌農協に20年ほど勤めていますが、【食品の安全】が掲げられ、【消費者センター】が力を持って以来、生産者への法の締め付けは厳しくなる一方だそうです。(それ自体は、悪質な加工業者の取り締まりからスタートしたのですが)
トマト生産でも、“少しでも疵があれば”、ブランド価値を損なうとして廃棄され、いちごやメロンはより厳しい。不法転売は厳しく警察の目が光っています。
小麦やじゃがいもなど、粉にされて加工されてから食品棚に並ぶ割合が多い製品は、農協が加工場を有しているので大丈夫らしいですが。
確実に、欧州でも同じ問題を孕んでいるでしょう。“この農作物を食べて下痢した”となった時に、訴訟と人権最重視により、【EU国民様にこんな食べ物を提供するとは何事か!】と、中世の貴族の再来のような主張が罷り通る時代になってしまっており、結局は責任の押し付け合いが多発する。
まだやってたのか…
実際どこまで影響が及んでいるか知らないけど、政治的な意味合いは大きいのでは…
EUはこの辺何もケアしてないのか?
まぁ満足な対策とか打ってもらえないからやってるんだろうけども
意外にややこしい問題でして。
安価なウクライナ産食糧が流入してくれているおかげで都市部の物価が抑制されている側面があり。
このウクライナ問題を解決すると都市部で食糧インフレが亢進し、政権支持率に大打撃となることが予想されます。
結果としての「打つ手がないので放置」がこの騒ぎを引き起こしているとも言えますね。
あぁ…そういう事で…
農民からしたら死活問題ですが
都市住民からしたらインフレの中での助けになっているんですね
その視点は無かったです
要するに政府が都市部の生活を優先して農民への皺寄せを見ぬ振りする構図だから、誰かの扇動によりEU内の農民たちが一斉に独立運動を起こして国境を越えた農民同盟国家を作る動きが起きても不思議じゃないですよね(共産主義革命と何が違うのかという話になりますけど)。
追記:この騒動は【ウクライナからの安価な作物の流入】が止まれば解決という次元の話では無いように思えます。即ち【現政権は農民の生活を、都市住民の生活と天秤に掛けて軽く思っている】という事実(今後同じように外部から安価な作物が流入した際も農民の生活は蔑ろにされる)が参加者の怒りの本質であり【次の選挙で農民寄りの政党が政権を奪取する】などの禊が成されない限りは国家への不信感は燻り続けると思います。
EU・ウ国間の戦前の取引量,EU(あるいは世界全体の)の生産量,22年の相場の推移,天候などを考慮しても大半のウクライナ産農産物の不足がEUで物価高騰を引き起こすとは思えません。
西欧諸国の大臣含む当局者達は多くの食料品に対して”原材料価格そのものは安定している”という旨の発言を何度も行っています。
ウ国側の妥協が無ければ(EUが莫大な追加負担をしない限り)物事が進まないというだけではないかと。
つまり農家は燃料費高騰、肥料費高騰なのに売り物の価格は下がるし、補助金は削減ってわけね
そりゃ一揆するわな
しかも「、燃料費高騰、肥料費高騰」の原因もまた、【ウクライナ支援の神聖視】と同根の【対露制裁】となっています。
大本を辿れば、欧州委員会の物事の発想そのものが、16世紀頃のカトリック教会と同様になっていることが要因と思われます。
「異教徒トルコと取引するヴェネツィアは破門」、「神聖同盟軍発足(なお、不協和音で解体)」と、喚いていましたが、結局はスレイマン大帝に敗れ、フランスとスペインの仲が悪化して内ゲバになり、ルターらが宗教改革運動を起こし、“ローマ劫略”等に至りました。
ただまあ、1816年のウィーン体制→1848年の市民革命然り、1919年ヴェルサイユ体制→1935年のファシズム台頭と、欧州ではある程度の周期で起こるお家芸のようであり、1993年マーストリヒト条約→2024年の農民暴動と歴史書に記されても【例のごとく】といったところでしょう。
30年もあれば、一つの体制が弛緩して構造矛盾に陥るのは仕方ありません。そろそろEUも、耐用年数の限界に達しつつあるようです。
長い歴史の視点から考えれば、歴史と貧困さんの言う通りなんですよ。
要するに農民一揆です。
詳しくは知りませんが、ポーランド政府は弾圧せずに傍観していて、農民はEUの決定に反対しているようですね。
これに対して、
・正しい思想や政策をするEUに対して、無知な農民が損得を優先しているという考えもできます。
・しかし、農民の反乱(小規模だが)という考えもできるのです。
何百年の歴史で考えると、つまり細かい知識や政策が抜けて本質だけが残ると、後者になるでしようね。つまり、神聖ローマ帝国に対する農民一揆みたいなものと同じです。
率直にみれば、ホンディアライエン委員長(EUのいわば首相)やEUの官僚らは選挙で選ばれたわけではありませんからね。EU創設には理想もありましたけどね。
こういう言い方は、反発を受けるけど、要するに、EUの本質は、世界政府みたいなものというか、本質は独裁なんですよ。いい独裁かもしれませんが。
そして、今回の暴動は、それに対する農民の反乱のひとつ、その一種の面もあるのですよ。
「EU基準を満たさない域外産品と公正な競争が行われていない」これが原因でしょうか?
産業製品でもEU規制のクリアは面倒ですが、農業でもややこしい規制がたくさんあるようで
EUの煩雑な規制強化に伴う行政手続きや経済的負担の増大等、農家の能力外の面倒なコスト増加があるのに
ウクライナはそれを満たしていないのに自由にEU圏内へ輸入されてくる。
EUが段階的に東欧及びウクライナへEU規制への対応支援をしなければ、
この夏以降はEU農民の反感はもっとひどいことになるのでは
デモが起きてる国の農相が、デモを支持したりしてるので、農業問題の採決は各国の農相を集めてやるべきだった。
生活が守られないなら、殺されたも同然でしょうから仕方がないのでしょう。戦争の早期解決、或いは、ゼレンスキーがいなければ状況は違ったのでしょうが、それは今や無かったこと。
個人的意見にすぎませんが、ポーランドが侵攻されることは、よほどの事がなければ無いと思いますし、農民たちは、そちらを信じているのでしょう。
数年後には、今回の戦争の事などは無かった事になって、案外皆さんよろしくやっている可能性は高いと思いますね。あの犠牲はいったい何だったのか?という含みだけ残して。
近頃のウクライナ現政権や志を同じくする人々はドナウ川輸送の拡大(と輸送路としてのポーランド不要論)だけでなく、ロシア産農産物輸入を続けるEU諸国への抗議(とその分を減らせばウ国の産品は問題ではなくなる)にも力を入れる程度にはこの問題に協力的です。
後者に関しては少なくともバルト三国などは協力していいと思うのですが、威勢のいい言葉と裏腹に対露制裁で傾いた海運とバルト海トランジットの要所としての地位を維持するため非制裁分野で四苦八苦しているのを見る分には少し難しそうですね。
昨今の戦況を見るにロシアのISRと連動したスタンドオフ能力が精度を増しており、ドナウ航路の港湾も露大統領選挙後の戦況と情勢によっては大規模に叩かれる事態を想定しておかなければならないと思います。
NYTの報道のように、ウの防空能力は3月頃にはもたないと予測されており、首都からも前線からも離れたドナウ航路を防衛する能力は確実に無いでしょう。
プーチンのさじ加減で消し飛ぶルートにチップを積み上げるのはまだしも、ポーランドルート不要論までウクライナ現政権の口から飛び出るとは少し驚きです。確実に戦後に禍根を残すでしょうに、もはやなりふり構っていないのでしょうか。
ロシアの勝利は揺るがないように感じます
あまりにウクライナに不利な材料が多い
劣勢な側が上手に立ち回らないでどうするのか
我が国にも耳が痛い話ではありますが…
同意です。この2024年2月は、EU内部の構造的な対比を浮き彫りにしています。
前提として、軍事支援の主力を担えるのは経済力の強い米英仏独しかなく(そもそも兵器製造メーカーが集中)、民生の支援には近隣諸国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア)の協力が不可欠です。
EU諸国でも【上流層】にあたるスナク、マクロン、ショルツらの政権は『ウクライナ支援の2か国協定』に調印した一方で、輸出輸入の構造的に発生してしまう、【ロシアからのエネルギー源の停止】【ウクライナからの農作物と難民の流入】への手当を欠いている。
結果的に、東欧の農民層から負担が重くなっていき、今やドイツやフランス、オランダやベルギーの農民や輸送業者までも反発が高まり、道路封鎖をベルリンやパリでも起こしている。
短慮に【ロシア制裁】に走り、その失敗(中国やインドのロシアからの購買力が既にEUを上回っていた)を認めることも出来ず、言い訳に終始する姿勢が、EU内部に潜んでいた構造矛盾を噴出させています。この責任を全て「ロシアが悪い」と責任転嫁する限り、欧州の混乱は拡大する一方でしょう。
そして、欧州の混乱が続く限り、ウクライナ支援は先細りになります。